奄美医療圏会議

県立大島病院の病床機能変更の協議は平行線をたどった(9日、県大島支庁)

県病院の病床機能変更 2病院反対、平行線
名瀬徳洲会は11増床

 奄美医療圏の将来の病床数の必要量を協議する「第15回奄美保健医療圏・地域医療構想調整会議」(議長・稲源一郎大島郡医師会会長)が9日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。県立大島病院が以前から求めていた「一部急性期病床の回復期への機能変更」についての協議は、複数の病院が反対の立場を表明、議論は最後までかみ合わず平行線をたどった。

 同会議は、2016年に制定された「県地域医療構想」に基づき、奄美保健医療圏での病床機能の分化及び連携の推進などについて協議する場。委員は、圏域内の病院関係者や12市町村の首長、県大島支庁の職員らで構成する。

 県病院側が求めているのは、現在の急性期270病床のうち37病床を回復期とするもの。石神純也院長は「24年度診療報酬改定で、看護必要度(患者1人あたりの看護職員数など)の基準を満たすことが難しくなった」として、経営面の課題を挙げ機能変更の承認を求めた。

 これに対し、大島郡医師会病院の満純孝院長は「当病院は回復期病床(57病床)が満床になっていない。地域全体で見ていく必要がある」、奄美中央病院の平元良英院長は「県病院が回復期の病床を増やすと、当病院は縮小を余儀なくされる。急性期の要としての役目を担ってほしい」と、いずれも反対の立場を示し、折り合いはつかなかった。 

 記念クリニック奄美(奄美市笠利町)の11病床を名瀬徳洲会病院に移床する答申を承認。宮上病院(徳之島町)は、15病床を介護保健施設へ変更するとしていた案を取り下げ現状維持とした。

 与論徳洲会病院は、急性期45病床のうち8床を回復期に変更、大和診療所(大和村)は休床中2病床を廃止し無床とする案を示し、いずれも承認された。

 県病院は、受診にかかりつけ医からの紹介状を必要とし、専門的な治療や検査に特化した「紹介受診重点医療機関」となる意向について「意向なし」と回答した。