北海道・羅臼町―徳之島町

南北3千㌔を越えて直接交流した北海道・羅臼町と徳之島町山小児童や双方の関係者=14日、徳之島町山小で

複雑な表情でサトウキビの味見体験も

南北3千㌔を越えて友情
世界自然遺産の共通項で

 【徳之島】北海道・知床半島の東側、オホーツク海に面する港町・羅臼(らうす)町の小中高生代表や関係者が14日、徳之島町山(さん)小学校(和田哲也校長、児童数9人)を訪問。世界自然遺産地域の共通項で南北約3千㌔を越え「知床学×徳之島学 二つの学びを一つにして未来につなげよう」をテーマに調査・学習成果を発表し合うなどホットに交流した。

 羅臼町の一行は「パイオニアスクール事業」の一環で国内の世界自然遺産地域との交流も進めてきた同町立羅臼小や春松小、知床未来中、羅臼高の児童生徒ら代表4人に、石﨑佳典教育長ら引率職員合わせて計10人。同教育長によると13日朝5時半に気温マイナス10度の羅臼を発ち、航空機を2度乗り次いで約12時間後に、気温差約25度の徳之島へ。

 羅臼小と山小両児童たちは昨年2月、双方をオンラインで結んだ学習表会で交流。羅臼小側は学校の窓から見える流氷もライブ中継して感動させていた。今回は一昨年の沖縄県西表島、昨年の屋久島に次いでの直接交流となった。

 山小体育館であった交流会では羅臼小、春松小、山小児童らの順に学校紹介や実践発表。羅臼小の野戸梨々夏(りりか)さん(6年生)らからは知床世界自然遺産の環境下にあって、年々増加傾向にあるエゾシカやキツネなどのロードキル(交通事故死)問題、地球温暖化の弊害など共通項の指摘も。

 山小の琉治希君(6年生)らは、奄美大島や沖縄北部・西表島とともに「なぜ徳之島が世界自然遺産に登録されたか?」についてあらためて調べ、人型ロボット(ペッパーくん)にプログラミングして解説。絶滅危惧種の鳥類や特定外来種の名前と画像を当てるクイズでも楽しませた。

 発表後は学校側が用意したサトウキビの味見体験でも交流。羅臼の児童たちは「羅臼は流氷がプランクトンを運んでくるので魚がおいしい。こちらはサトウキビやバナナがあっていい。ぜひ遊びに来てほしい」。山小児童たちは「世界自然遺産に登録された理由が違っていることも分かり、羅臼もすごいと思った。一度は行ってみたいです」と目を輝かせた。

 石﨑教育長は「流氷といってもピンとこないと思う。それぞれ住んでいる場所は違うが、機会があったらぜひ夏に来てほしい。お見せしたいものがたくさんある。貴重な体験をさせていただいた」と感謝していた。

 羅臼町の一行はこの後、畦プリンスビーチや道の駅、徳之島世界遺産センター、東天城中を交流訪問。徳之島町生涯学習センターでは同島の歴史文化についても研修。15日に帰途に就く。