「総合的な探究の時間におけるデータ分析・活用の仕方」をテーマにオープンデータの活用法を指南した講師の勝さん
県大島支庁が持つオープンデータを授業で活用するノウハウなどを学ぶ出前講座が15日、奄美市名瀬の大島高校多目的ホールであった。1年生約220人が参加し、行政データベースを活用した学習の探究方法などに理解を深めた。
同支庁は、奄美群島の現状や推移をまとめた「奄美群島の概況」を1953年から毎年発行。同概況では、群島内の自然や行政、産業経済、教育、文化などの資料を網羅しており、誰でも利用できるオープンデータ化は24年度事業で実施。教育やビジネスでの利活用を目的に、昨年12月から県のホームページで無償公開している。
講座は、サイバー大学IT総合学部教授で県DX(デジタルトランスフォーメーション)推進アドバイザーの勝眞一郎さんが講師を担当。「総合的な探究の時間におけるデータ分析・活用の仕方」をテーマに、データの活用方法や使う際の利点をアドバイスした。
勝さんは、探究の時間に取り組むにあたり「地域課題として考えたことに客観性を持たせるためには、データによる検証が重要だ」と助言。データの利点については「ただ少ないと言われても切実感はない。多い少ないは人によって感じ方が違う。数字で示すことが大事だ」と訴えた。
実践編では、奄美群島の入り込み数のグラフなどを例に挙げ、繁忙期や閑散期といったデータの読み解き方なども指南。「人はそうだと納得しなければ動かない」と強調し、「データには未来を見通す力がある。自分たちの暮らしを自分たちでよりよくするために使ってほしい」と呼び掛けた。
1年の渡裕愛(ゆら)さんは「データがあることで人は理解・共感できると思った。うまく活用したい」と笑顔だった。講座を見守った同支庁総務企画課の谷本美恵子課長は「データは活用することが大事。地域の課題解決や事業の創出など、教育やビジネを問わずさまざまな場面で県民に活用していただきたい」と話した。
講座は14日、瀬戸内町の古仁屋高校でも行われた。