今年度産タンカンの奄美大島選果場利用は共販・委託計画とも前年を下回る見通しだ
JAあまみ大島事業本部生産部会連絡協議会果樹専門部会(大海昌平部会長)は14日の大和村を皮切りに、2024年度産「奄美たんかん」出荷販売対策会議を開いている。16日は奄美市と龍郷町であり、奄美大島選果場に設置されている品質保証可能な光センサー利用のタンカン取り扱いは、JA共販・委託計画とも前年実績を下回る見通しだ。気象条件により大玉果実など糖度が低い傾向から、品質評価を避ける利用控えが生産者にあるとみられている。
生産量の多い名瀬や住用地区などを対象にした会議は名瀬の市農業研究センターであり、生産者や行政関係者などが出席。生産状況、販売対策などが説明された。
JAによると、24年度産タンカンは大きな気象災害もなく生育は良好。その一方で昨年10月・12月に実施した果樹部会員の共販出荷申し込み量は61㌧で、23年度実績(79・67㌧)を18㌧余り下回る。支所別出荷計画は、▽名瀬18・60㌧(前年度実績28・05㌧)▽笠利0・7㌧(同1・0㌧)▽住用11・10㌧(同9・79㌧)▽龍郷1・79㌧(同2・56㌧)▽大和12・50㌧(同21・45㌧)▽宇検9・2㌧(同11・12㌧)▽瀬戸内7・4㌧(同5・67㌧)。実績を上回る申し込みは住用、瀬戸内の2支所のみで、量が多い名瀬や大和も下回っている。共販同様、奄美大島選果場を利用し選果選別を行う委託計画は138㌧で、前年実績(163㌧)を25㌧下回る見通し。
共販や委託の申し込みが低迷している背景には、品質面があるとみられ、会議では「外観面から良品(上から秀・優・良のランク付け)と判断できても光センサーを通すと内部品質で外品(規格外品)と評価されることを警戒しているのではないか」との指摘があった。JAでは1月10日現在の果実分析を行っている。それによると糖度は、Lサイズは10度以上とまずまずだが、2Lサイズなどの大玉果実は低めという。糖度が上がらない要因について県大島支庁農政普及課は「夏場の気温が高く、秋は降水量が多かったことで、酸が最初から低い(酸が高いと糖の上昇が期待できる)。また夜温も高い。冬場も曇天が多く日照が不足すると光合成に影響し、糖がなかなか上がらない」と説明する。
選果場での取り扱い量が前年よりも少なくなる見通しについて奄美市の担当者からは「糖度が低いから出す(選果場に)とはねられ、外品扱いになってしまうから出さないという考えでは、タンカンの品質は安定しない。選果場の光センサーによって品質評価されたものを島外などに出荷してほしい。それによって奄美のタンカンが消費者に信頼される」との指摘があった。JAも「共販については量の面からすでに注文を断っている状況。まだまだ引き受けることができる。共販出荷をお願いしたい」とし、委託も品質の確認ができることから選果場利用を呼び掛けている。
なお、販売対策で商品管理については①樹上完熟を基本とした収穫の実施②家庭選別を徹底し、腐敗果・病害果の混入防止③へたの切り残しはしない―を挙げている。今月下旬から選果場の利用は可能となるが、販売は2月からになる。共販のキロあたり単価は564円の高さで設定している。