県は21日、徳之島町下久志(しもくし)に設置している調査用トラップ(わな)で、果樹・果菜類の害虫ミカンコミバエが新たに誘殺(雄成虫1匹、20日)されたと発表した。徳之島での今年度の誘殺数は43匹目で、昨年12月2日以来。1月に入っての誘殺事例は種子島であり、気温が低下する冬場でも活動している。関係機関は不要な果実などの適切な処分を呼び掛けている。
経営技術課によると、県内における今年度のトラップでの雄成虫の誘殺は、今回を含め10市町村で合計54匹となり、うち79・63%と8割近くを徳之島が占める。県内の寄主果実で幼虫等が確認されたのは5例(全て徳之島)
冬場である1月の誘殺事例は、同課によると2020年度(1月27日)に種子島・西之表市で雄成虫1匹がある。12月の誘殺は昨年12月2日に伊仙町で1匹あったが、19年度(12月3日)には瀬戸内町の加計呂麻島でも1匹確認されている。
農林水産省門司植物防疫所は「ミカンコミバエは気温が13~14度まで下がると発育が止まるとされているが、昨年秋口の調査で寄生果実から幼虫が確認されており、雌の生息を示すことから、雄は誘殺されても雌が生存しているのではないか」とし、「冬場でも気温が上昇し暖かい日があれば虫は動く。冬場の寄主果実はかんきつ類が多いだけに、庭先栽培などの不要なものや落下した果実はそのまま放置すると、熟した果実に雌が産卵することから、居住する自治体のルールに沿って適切に処分してほしい」と住民の協力を呼び掛ける。JAあまみ徳之島事業本部果樹部会副会長でタンカン専門部会長の松本幸徳さん(63)は「誘殺確認を受けて部会としても関係行政機関とともに誘殺板(テックス板)設置や寄主果実の除去に取り組んでいる。夜温は10~11度まで下がるが、日中は晴天だと最高気温が20度を超える。タンカンの収穫まで間近な中、今年はヒヨドリによる被害があり、つついた果実が園内に落下している。そのままにせず果実を回収して、ミカンコミバエの発生を防ぎたい」と指摘する。今回の誘殺については発生国からの飛び込みと説明を受けているという。
誘殺を受けての初動対応は次の通り。
【トラップ調査】徳之島町下久志では、今回確認された地点から半径5㌔㍍円内に、これまでの誘殺に伴い初動対応として設置していた16基に加えて2基を増設。ミカンコミバエの確認日から2週間は、週2回の調査を実施。
【誘殺板防除】今回確認された地点から2㌔㍍円内に誘殺板を設置(21日に1300枚)。徳之島の山間部を中心に11月6~15日に航空防除(ヘリコプターによる誘殺板投下)を実施済み。
【ベイト剤防除】今回確認された地点から半径50㍍円内にベイト剤を散布(21日)
【寄主果実除去】今回確認された地点から半径1㌔㍍円内の不要な寄主果実については21日、29日、2月13日に関係者により除去を行う。半径2㌔㍍円内の不要な寄主果実については、地域住民へ自主的な除去を要請。