県立奄美高等女学校の同級生5人がそろってデイサービスを利用。一緒にレクリエーションを楽しむ(22日、通所介護事業所「ゆとりあん」)
1929(昭和4)年、今年の干支(えと)巳(み)年生まれで96歳になり、いずれも県立奄美高等女学校(現在の奄美高校の前身)を卒業した同級生5人が共に奄美市名瀬にある通所介護事業所(デイサービス)を利用している。週1回、5人がそろう日があり、「心通じる仲間。一緒にいるだけで楽しい」とお互いを気遣いながら笑顔で長寿を重ねている。
利用しているのは、医療法人奎英会(向井奉文理事長)が運営する通所介護事業所「ゆとりあん」。サービス付き高齢者住宅の1階にある。24人が登録しているが、同女学校の同級生は河内(かわち)タキ子さん、作島ナツ子さん、染美和子さん、平田トツエさん、本田和(かず)さん。本田さんは早生まれ(1月23日生)で干支が異なり、午(うま)年。
管理者で理学療法士の満田隆樹さん(45)によると、5人とも名瀬地区に居住しており、染さんが最も早く2020年から利用。21年には本田さん、22に平田さんが利用するようになり、河内さんと作島さんは昨年から。満田さんは「女学校の同級生という皆さんが5人一緒に利用していただくのは、これまで例がない。同級生の安心感からかみなさん明るく、よく笑う」と話す。介護サービスのケアプランを作成するケアマネジャーが顔なじみの同級生が利用しているのに配慮し、同じ事業所に集うことになったという。
利用時間は午前9時から午後4時10分まで。血圧測定などの健康管理から始まり、入浴(順番待ちの間に計算問題やカレンダーへの塗り絵などの脳トレーニング)、昼食、休憩、体操、おやつ、手作業、レクリエーション、職員の三味線に合わせてのシマ唄などで過ごし、合間にはリハビリも行われている。5人のうち1人が月に数回の利用ということもあり、5人そろうのは毎週水曜日だ。
現在も大島紬を織っているという染さんによると、5人が女学校に入学したのは太平洋戦争が勃発した1941(昭和16)年。「入学してその年の12月には戦争が始まった。戦争によって学校で勉強することがなかなかできなかった。4年間通ったが、(終戦前の)昭和19年の卒業式は学校の校舎が焼けたこともあり、大島高校での卒業式となった」と染さんは振り返る。
作島さんは「普段から電話で連絡を取り合い、よく食事会をする仲だった。5人一緒にデイサービスに通うことができうれしい」と笑顔で話し、「自宅にいるよりもみんなの顔が見られて、会話をすることで笑顔が出る。長生きしていきたい」と語った。