喜界島で行われたJAC企画SDGs&環境保全ツアーの早朝ビーチクリーン活動(提供写真)
初めての社会人参加となった鹿児島空港ビルディング㈱の職員(プラスチック製品など多くの漂着ごみを回収した)
日本エアコミューター(JAC)は、地域課題を考えながら観光や文化といった離島の魅力や人の温かさに触れる「SDGs&環境保全ツアー」を企画している。これまで主に大学生を中心にしてきたが、今月あった喜界島のツアーには企業・社会人が初めて参加。関心が高まり、企業の参加を促す契機となった。
JAC地域連携部によると、同ツアーは2022年度から開始、これまでに10回開催している。当初は県内学生の参加で始まったが、全国に広がり、2月に予定している与論島、沖永良部島のツアーには東京の学生が参加するという。学生の参加にあたっては県助成金を活用しているが、社会人の場合は助成金に頼らずの実施となった。
今月15~16日のツアーには社内にSDGs活動推進委員会がある鹿児島空港ビルディング㈱の担当職員8人が参加。初日は喜界空港到着後、現地のエコツアーガイドの案内のもと、巨大ガジュマルや百之台国立公園展望台、サトウキビの一本道などの景観地を観光。現在、島の基幹作物サトウキビの収穫期だが、参加者は収穫体験も行い、刈ったキビの葉をヤギの餌として与えたり、キビの搾りかすを畑の肥料にすることを目の当たりにし、「一つも無駄にしない先人からの教え(知恵)は、SDGsそのもの」と理解した。夜は、居酒屋で唄者・川畑さおりさんのシマ唄を聴き、美しい歌声と声量に驚きながら、島の文化を堪能した。
2日目はビーチクリーン活動。強風が吹く中、午前7時から空港臨海公園前の海岸で行った。中国語や英語表記の海外からの漂着ごみ(ペットボトルや漁具などのプラスチック類)が多く、わずか30分程度で2袋分のごみを回収した。その後は島内観光や農産物加工センター見学などを行い、空港発の鹿児島便で帰途に就いた。
同空港ビル総務部総務課勤務の井手ノ上菜々さん(26)は「これまでに奄美群島は奄美大島や徳之島、与論島を訪れているが、喜界島は初めてで島の人の温かさがとても印象に残った」と語り、SDGsについては「きれいに見えた海辺も漂着ごみが多く、たくさん回収でき、ごみ問題を学び考えることができた。会社の活動推進委員会のメンバーであり、空港周辺のごみを拾うなど実践し働きやすい会社にしていきたい。今回のツアーに参加してとてもいい経験になった。他の企業にも参加を呼び掛けたい」と意欲を見せた。