官民連携事業の推進へ国土交通省PPPサポーターを講師に招き奄美市が開催した勉強会
公共施設整備などでの民間資金やノウハウの活用推進を目的にPPPプラットフォ―ムを設立した奄美市は24日、国土交通省PPPサポーターを講師に招いての勉強会を開いた。旧名瀬市、旧笠利町、旧住用村が合併し誕生(2006年3月)した奄美市は新年度、合併20年を迎えるが、旧自治体で建設した公共施設が老朽化している。こうした施設の管理の在り方など官民連携による公共サービスへ地方自治体の「小型案件こそビジネスチャンス」との指摘があり、公共事業の新しい領域として専門的な知識・技術の蓄積を求めた。
事務局の市プロジェクト推進課官民連携推進室によると勉強会には、地元の建設・建築関係団体や金融機関などで構成する同プラットフォーム会員のほか、市議、市職員が参加。同サポーターの山本計至(かずゆき)氏=㈱合人社計画研究所・取締役経営企画本部長=、吉長成恭(はるゆき)氏=一般社団法人ちゅうごくPPP/PFI推進機構代表理事=が講師を務めた。
「実践から学ぶ!」を掲げた勉強会では、山本氏が「民間企業の立場で語るPPP/PFI~地方・小型案件にPPPの魂が宿る」と題し講演。PFIについて、幅が広いPPP(官民連携)の一部で「法律(PFI法)に基づいた手続き」と説明した上で、実践してきた全国事例(PPP/PFI事業)を紹介。この中では、▽全国で一番多いのは給食センター▽延命を目的にした既存施設の改修も方法▽「ザ・スモールPFI」小型案件こそ大事であり、小型案件にPFIの魂が宿る―などを挙げた。
山本氏は事業者のメリット(自治体にも)として、▽新たなビジネス領域(ノウハウ蓄積で今後の事業領域の拡大につながり、企業の新たな収益源として見込める)▽ほぼノーリスク(合理的で適切なリスク配分等が明示された契約に基づいて事業を行い、SPC(特別目的会社)運営は予定通り進むことが前提)▽設計施工・維持管理運営の一体発注▽実績が次の営業につながる―など説明し、「地方の自治体が生き残りを懸けて地域の皆さんと共に事業に取り組む。そこにPPPの妙味がある」と述べた。
学識経験者の吉長さんも加わった意見交換会もあった。同課官民連携推進室の中江康仁室長は「PPP/PFI事業では価格の優位性だけではなく、その施設が地域の活性化やまちづくりに役立つかなど施設利用者の利便性に果たす役割を考察する大切さが認識できた」と語った。