喜界島の小さな花、一足早く

開花したヒメタツナミソウ(24日、七島鼻で撮影)

 

 

 

「ヒメタツナミソウ」開花
見頃は3月末~4月

 

 

 

 小さな島の小さな花、喜界島の固有植物「ヒメタツナミソウ」の花が咲き始めている。春を思わせるぽかぽか陽気につられ、12月下旬頃から一部の個体が一足早く開花。2月の厳寒期にはいったん開花は収まるとみられるものの、3月末から4月には見頃を迎える。

 ヒメタツナミソウは、喜界島にのみ自生するシソ科の多年草。葉の長さは5~9㍉で、花は白色または淡紫色。町の天然記念物で、環境省の絶滅危惧ⅠB類などにも指定されており、採取が禁止されている。

 町教育委員会埋蔵文化財センターでは、ヒメタツナミソウの観察を2019年から続けデータを集めている。記録では20度前後で開花し、一部は11月から1月にかけて花を咲かせることも分かってきた。

 現在は、滝川、長嶺、百之台など島内18か所に自生を確認。集落の一部の人に場所を知らせることで柵などを設けず、自然の中での保全を進めている。

 センターの松原信之主査は「生活圏に近い花。他人事ではなく、人との近い関係を保ちながらみんなで守りたい」と強調。「見かけた際には静かに観察してほしい」と話している。