元山公知宇検村長(左)へ地区防災計画を報告、贈呈した湯湾集落の藤村茂樹区長(27日、宇検村役場)
宇検村の湯湾集落(467人、258世帯)がこのほど、地震や津波、台風などによる災害発生時の活動指針となる「湯湾地区防災計画」を作成し27日、同村湯湾の役場村長室で完成報告会が開かれた。藤村茂樹区長(71)から、計画書を贈呈された元山公知村長は「村全体の防災計画があるが、地域の方々で話し合うことが、防災への力となる。先進的な作成に感謝し、湯湾をモデルに、さらに防災に強い村になっていけば」と話した。
計画作成は県「住民による避難力強化支援事業」の一環。自主防災組織を対象に避難行動の理解を推進し、計画の作成支援などによる地域防災力の強化が目的。
山岳部に囲まれた焼内湾奥にある湯湾は、村内で最も人口が多く、役場や消防分駐所など公的機関、企業も多く集まる村中枢地区。青壮年団や婦人会、老人会ら住民の防災意識が高く、24年5月、同事業のモデル地区に選出。同7月から11月にかけて、警察や消防、名瀬測候所らも参加する、防災計画作成会議を計4回開催した。
会議では村保健福祉課や民生委員らから、土砂災害の可能性がある危険地区に住む要支援者や、避難行動の優先順位などを確認し、防災マップを作成。防災計画では避難所や緊急一時避難場所を記し、村の警戒・対策本部設置時の各対応方法などを明記。資料には個別避難計画個票や非常時の持ち出し品などが書かれた避難カードを掲載した。
計画は福祉力や地域力の向上も目指し、「結いの島防災計画」と命名。藤村区長は「昨年、各集落会館に宿泊した北海道の自衛隊から防災ラジオの常備など、宇検村は防災意識が高いと評された。計画は防災への第一歩として今後、地域住民一丸となり対策に取り組みたい」と語った。
村防災担当、総務課の俊岡秀人主査(63)は「昨年、能登半島災害や日向灘地震などがあり、村もさまざまな災害が想定される。湯湾はモデル地区として各集落の計画作成へ指導していただければ」と期待を寄せた。
同計画の冊子は2月中に集落225戸に配布されるという。