「奄美たんかん」の収穫開始、集出荷へはさみ入れ式が行われた(1日、瀬戸内町古志の池島果樹園)
2024年度産「奄美たんかん」はさみ入れ式(JAあまみ大島事業本部主催)が1日、瀬戸内町古志(こし)の池島果樹園(池島修園主)であった。小雨が降る天候となったが、タンカンシーズン到来を告げる特産果樹の収穫開始に生産農家らが参加。気象条件により低糖低酸の傾向にあるが、こうした環境に適応した栽培技術習得で生産安定や品質保証へ光センサー選果機利用が呼び掛けられた。
生産者のほか、県・市町村の行政機関、JA関係者が出席。アデクを植樹しての防風対策、側面への防風ネット、天井に防鳥ネットを張りヒヨドリなどの食害を防ぐ取り組みを施した果樹園の状況や作業負担軽減へ低樹高の樹形などを視察する様子も見られた。
式では生産者を代表してJA生産部会連絡協議会専門果樹部会の藤村秀久副部会長があいさつし、「夏場の猛暑やそれ以降も高温、秋の降水量の多さ、冬場の曇天・日照不足といった気象条件の影響を受けているが、寒が入ったことで特有の紅が乗っている。温暖化で気候変動は今後も続く。こうした環境に合わせた栽培技術を習得し生産の安定に向けて取り組まなければならない」と決意を述べた。
来賓祝辞は地元の鎌田愛人町長、県大島支庁農林水産部農政普及課の中(あたり)実課長が行った。光センサー選果機設備がある奄美大島選果場の利用が呼び掛けられ、「タンカンは生産に取り組む担い手が確保されており、奄美大島が国内トップクラスの生産量を誇る。『奄美たんかん』は全国にファンがいるだけに、品質保証によって信頼に応えてほしい」と指摘した。
はさみ入れ式が行われた果樹園の園主で、瀬戸内町果樹部会長の池島さん(68)は東京からUターン後にタンカン栽培に取り組み現在8年目。「父親が送ってくれたタンカンを味わって、とてもおいしいと思うことが多かった。帰郷したら作ってみようと考えていた」ことから講習会への参加を重ね、知識と技能を習得。果樹園は下場(平場)にあり、面積は50㌃(約200本植栽)。今期の生産量は3㌧を見込んでいる。果実のサイズはLや2Lが中心。
気象条件により品質の低下が指摘されているが、池島さんは「樹木に寄り添い、一つ一つと対話をするような気持ちで管理することが大切ではないか」と話す。夏場の炎天下時も樹木がストレスを感じないよう、水分を蒸散させない工夫やかん水を心掛けたという。池島さんは「冬場は曇天が多く、日射がある晴天がなかなか続かないが、このところの気温低下で寒が入っている。管理面でこれからも工夫を重ねおいしいタンカンを生産していきたい」と語った。