保育士菊池房子さん(当時55歳)が殺害された伊仙町佐弁の現場住宅〈★印〉(昨年11月24日撮影)
県警捜査1課、徳之島署は1日、昨年11月、伊仙町の保育士の女性が自宅で死亡しているのが見つかった殺人事件で、県内の男子高校生(18)を住居侵入、殺人容疑で逮捕した。
逮捕容疑は昨年11月20日午後6時過ぎ、同町佐弁の保育士菊池房子さん(当時55歳)宅に侵入し、刃物のようなもので菊池さんを刺し殺害した疑い。
同日夜、県警捜査1課が報道陣の取材に応じ説明。それによると、容疑者の男子高校生は「包丁で刺して殺したことは間違いない」と供述し、容疑を認めているという。菊池さんと高校生は面識があるが、県警は「家族や親族ではない」と説明。高校生が徳之島在住かについては「捜査に支障があり言えない」としている。
県警は凶器とみられる刃物を押収していた。県警では事件発生から約2か月間、延べ約2500人で捜査。聞き込みや関係者の聴取を総合的に判断して、容疑者を特定した。動機など詳細は捜査中。
捜査本部長の中野誠刑事部長は「県民の皆様の協力で容疑者を逮捕できた。引き続き事件の全容解明のために捜査を進めていきたい」とした。
事件は菊池さんが自宅で血を流して倒れている状態で見つかったもので、通報を受けて駆け付けた消防と警察がその場で死亡を確認した。司法解剖の結果、死因は出血性ショックと判明。菊池さんの上半身には鋭利なものによる複数の傷があった。県警は徳之島署に捜査本部を設置し、聞き込みや現場検証を続けていた。
日頃閑静な農村集落に降ってわいた衝撃の殺人事件。住民らを震撼させたが、発生から74日目にしてようやく容疑者の逮捕に至ったことに、近隣集落の男性(40歳代)は「本当にほっとした。犯人特定に至らない未解決のままで、児童生徒たちの通学時の安全性も心配していた」。殺害された菊池さんについては「誰にも優しくて、他人から恨みを買うような人ではなかった。気の毒でならない。警察はよくやったと思う」。
近隣集落の女性(30歳代)は「事件後はとても怖くて夜も眠れなかった。犯人が不明のまま逮捕されないことから、住民たちは集落内全ての街灯の24時間点灯を役場に依頼。中には引っ越した住民もいる。とにかく容疑者が逮捕されてよかった。これでひとまず安心して眠れます」。