奄美市総合戦略会議

次期総合戦略案を了承した奄美市総合戦略会議

人口減対応へ新案了承
32施策など市議会上程へ

 奄美市の次期総合戦略(25~27年度)策定に向けた「第2回総合戦略会議」(座長・馬場武鹿児島大学法文学部講師、委員16人)が4日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。事務局からは、次の3か年で取り組む新たな総合戦略案が示され、委員らが議論。人口減対策に焦点を当てた新総合戦略案を了承し、市議会に上程することを決めた。

 今年度末で期限を迎える総合戦略(20年~24年度)に代わる計画として策定する。11月に示された素案では、目指す将来像は現行の「しあわせの島」を踏襲しつつ、歯止めがかからない人口減少への対応を最大の焦点に掲げた。具体的には、▽社会動態(転入・転出差)をプラスにする▽子育て世代を増やす▽出生数を増す▽人口減少に対応できる島づくり(デジタル化推進)―の4項目を戦略目標に位置付け、内容の見直しを進めてきた。

 示された新たな案では戦略目標の遂行を前提に、①生活満足度の向上②成長の源泉である元気な経済活動③次世代へしまの誇りを継承―の基本理念の下、子育て、医療、仕事応援、学ぶといった分野別の八つの方向性を設定。それにひも付く32の具体的施策では、達成度をより明確にするための数値目標も定めた。

 具体的施策では例えば、「医療の確保」の項目を新たに加えた。医療機関減少への不安が広がる中、医療懇話会の設置などを計画。より現実に即した地域医療の在り方を探るという。また、「多様な働き方の推進」では短時間ワークや副業制度の研究を強化する。潜在的労働力の掘り起こしなどにつげていくという。

 協議では「新たな事業や起業だけでなく、事業継承にも取り組んでほしい」「全体の相関性がわかるビジョンマップが必要」「住用町には児童を預かる場がなく、何とかしてほしい」「島外の若者が帰りたくなる施策を」といった意見が委員から出た。医療体制の改善を求める声も相次いだ。

 今後は委員から出た意見や市民から届いたパブリックコメントを集約し、3月の市議会定例会で提案される。