奄美市生徒指導審議委

各種報告があり意見を交わした奄美市生徒指導審議委員会

「フォーム窓口」追加で合意
心の健康観察、モデル校実証へ

 奄美市生徒指導審議委員会(委員長・木場敏朗名瀬中学校校長、委員6人)の2024年度最後となる第3回会合が4日、同市役所であった。事務局(市教育委員会)が、生徒指導ハンドブックの活用など各種状況を報告。新たな取り組みでは、メールフォームを使った相談窓口の開設や、児童生徒の心の状態を早期に把握し支援する「心の健康観察」の研修などを導入することで合意した。

 報告によると、再発防止のためにまとめた「生徒指導ハンドブック」や第三者調査委員会が作成した調査報告書は今年度、市内32校の全ての小中学校で活用された。60分以上の研修での活用も100%、同以外の研修は90%(29校)だった。子ども・保護者の相談窓口の利用は1件(電話)。家庭学級内での啓発(人権講話など)は今年度予定分を含め計34か所で行われた。

 メールフォームを使った相談窓口は、QRコードを活用しよりアクセスしやすい環境を目指す。小学生が利用できるかなど、一部に「改善の余地はある」としたものの、新年度が始まる4月上旬の設置を目指す。

 「心の健康観察」は1人1台端末を活用することで、関係者が情報を素早く共有する。チームによる早期支援体制の構築を目的に、まずはモデル校の名瀬中学校、崎原小中学校の2校で実証を始める。結果は6月末を目途に報告する。

 ハンドブック活用について委員からは、「100%に近い状況。今後は実際の不登校者にどう生かされているのか、どう改善につなげるのかを検証すべき」「分量が多く全てを理解するのが難しい。概要版、エッセンス版の作成を」といった要望も出た。事務局は「周知はほぼできてきた。次のステップとして検討したい」と述べた。

 木場委員長は「一方的な思い込みが裏目に出ることもある。子どもにしっかりと向き合って聞き取ることを心掛けたい。問題はその時その時に対応が必要になる。次年度以降もいい意見を期待したい」と総括した。

 委員会は、15年に奄美市の中学1年生の男子生徒が担任の指導後に自死した問題を受け21年に始まった。今年度は「実態に即した取り組みを」と地元から委員を委嘱。次年度は再任などを含め、今後検討していくという。