群島タンカン品評会で金賞

奄美群島品評会に出品されたタンカンは内容・外観ともに順調に仕上がり、生産者の努力が評価された(6日の審査会場)

L古俣さん(瀬戸内町)、2L松本さん(徳之島町)
出品果実 内容・外観とも順調仕上がり

 2024年度奄美群島タンカン品評会(奄美群島農政推進協議会、JAあまみ主催)の審査結果が7日、発表された。階級ごとに金・銀・銅賞(各1点ずつ)が選出され、最高の金賞はL階級が古俣文喜さん(60)(瀬戸内町)、2L階級は松本幸徳さん(63)(徳之島町)が受賞。温暖化など気候変動により気象条件が品質を左右しているが、品評会に出品された果実は、内容・外観とも順調な仕上がりが評価された。

 品評会には前年度を6点上回る55点が出品された。審査委員長を務めた県農業開発総合センター大島支場の松比良邦彦支場長の講評によると、出品タンカンの平均糖度はL玉が10・9度(前年度12・1度)、2L玉が10・7度(同11・9度)と前年度より低いが、22年度の状況に近い結果という。受賞品の中には「平均糖度が11度を超えるものもあり、気象条件に悩まされる厳しい環境の中、順調に仕上がっている」と指摘する。

 平均酸度はL玉0・85%(前年度1・11%)、2L玉0・83%(同1・08%)となり、いずれも1%を切っている。松比良支場長は「酸度はやや低い結果ではあったが、糖度とのバランスはとれている」とし、外観については「全体的に色のりが良く、上位入賞したものは、鮮やかな紅色に仕上がり、病害や傷果も少なく、きれいな果実となった」と品質の良さを挙げ、「品評会を機会に今後とも自己研さんに励まれ、更なる技術向上に努めていただきたい」としている。

 L階級で金賞に輝いた古俣さんは、自らが生産したタンカンの品質状況を知る機会として毎年、品評会に出品している。「これまで銀賞や銅賞は受賞しているが、金賞は初めてでうれしい」と喜びを語った。果樹園は加計呂麻島の須子茂(すこも)にあり、急しゅんな山地だが海沿いのため日当たりがいいという。かんきつの栽培面積は約2・5㌃。古俣さんは「樹木の活動や働きを促すため肥料では有機物を与えている。肥料切れを起こさないよう少しずつ長くを心掛けており、土の中の栄養成分を保っている」と語った。

 松本さんは前年度の品評会ではL階級で金賞を受賞しており、2年連続の金賞。「2Lでの金賞は初めてで、あまり自信がなかった。こうした気象条件で入賞できたことを励みにしたい」と松本さん。「品質のいい、おいしいタンカンを作り続けていくためにも枝葉の剪定(せんてい)方法や摘果時期などを考え直し、樹木の作り方を変える必要がある。温暖化が進む中で3Lなどの大玉果実ではなく小玉果を作ることが課題」と語った。

 金賞以外の審査結果(受賞者)は次の通り。(敬称略)

 【L階級】銀賞=高岡果樹園(喜界町)▽銅賞=玉野公和(大和村)

 【2L階級】銀賞=児玉旭(奄美市)▽銅賞=前山大輝(同)

 【審査員特別賞】元井雄太郎(奄美市)

 【奨励賞(大島支庁長賞)】池島修(瀬戸内町)、田中幹雄(奄美市)