25年度県予算案奄美関係新規・拡充

急患搬送体制の充実へ新規事業で奄美の3空港(喜界、沖永良部、与論)に夜間照明設備が整備される(写真は沖永良部空港)

3空港の夜間照明設備
地域モデル検討・実証 ICTで遠隔医療推進

 7日発表された県の2025年度当初予算案の新規・拡充事業で奄美群島関係では、離島急患搬送の体制充実を図るため、夜間照明設備がない奄美群島の3空港で対策が施されるほか、ICT(情報通信技術)を活用し離島・へき地における遠隔医療を推進する。

 新規の急患搬送用備品整備事業は1611万8千円を計上。離島の3空港の夜間照明設備の整備や、ヘリコプターの電磁波干渉試験等に向けた医療資機材の購入など、搬送時の安心・安全な環境を整備するもの。消防保安課によると、夜間照明設備がない喜界、沖永良部、与論空港を対象に持ち運びができる可搬式を購入し対応する。

 新規の離島・へき地における遠隔医療推進事業は1200万円を計上。離島・へき地における遠隔医療を推進するため、ICTによるオンライン診療を用いた患者負担軽減等に向けた地域モデルの導入手法の検討・実証を行うもの。保健医療福祉課によると、遠隔医療に関してはこれまで国による機械への補助、ワークショップやシンポジウム開催などで推進してきた。ICTによるオンライン診療は、へき地診療所とへき地医療拠点病院をマッチングさせての取り組みをイメージしている。地域モデルについては離島・へき地の複数を選定する予定で、コンサルティングの意見などを参考にしていく。

 このほか奄美関係の主な事業内容は次の通り。

 県立高校の将来ビジョン検討事業(新規・318万5千円)=生徒の多様な学びのニーズや生徒数の減少に対応するため、有識者による検討委員会を設置し、今後の望ましい県立高校の教育の在り方について検討を行う▽県立高校生徒通学支援事業(新規・3961万6千円)=県立高校における教育にかかわる経済的負担の軽減を図り、通学費を理由に生徒が希望する学びを諦めることがないよう、高額な通学費を負担している生徒などに対して通学費の一部を支援する。

 離島地域おこし人材育成推進事業(新規・633万7千円)=住民やNPO、事業者などの多様な主体による、自発的な離島の地域づくりを促進するため、地域課題解決のアイデアを募集するとともに、地域づくりのリーダーとなる人材を育成する研修会等を実施する。

 スマート農業導入加速化推進事業(拡充・2671万9千円)=スマート農業の導入・普及を推進するため、農業者の理解促進やデータ活用を指導する人材育成、新技術開発の支援のほか、地域基幹作物等におけるスマート農業活用の実証活動など、現地への実装化を進める取り組みを支援する。

 観光かごしま宿泊者効果測定調査事業(新規・1394万2千円)=多様化している宿泊者のニーズや動向を把握するため、県内の宿泊施設において二次元コードによるアンケート調査を実施する。

 鹿児島県人材確保・移住調査事業(新規・1208万9千円)=人材確保や移住促進に関し、効果的な施策の展開を図るため、若年層や移住希望者等へのアンケート調査やヒアリングを実施し、新型コロナウイルス感染症の5類移行も踏まえた実態把握と現状分析を行う。