「ほこらしゃ奄美音楽祭」が幕

音楽祭の最後は、ステージも会場も全員が「六調」を踊った(11日、奄美川商ホール)

クラシックとシマ唄の融合
奄美オーケストラ26人協演

 フルオーケストラとシマ唄の協演「第3回ほこらしゃ奄美音楽祭」(同実行委員会主催)は9日、奄美市名瀬の奄美川商ホール(奄美文化センター)であった。2023年の初公演以来3回目となる音楽祭は、今回で幕を閉じる。詰めかけた828人の音楽ファンは、奄美大島に良質なクラシックの演奏を届け、シマ唄との融合という新たな挑戦を果たした音楽祭を「ほこらしゃ」(誇らしい)と評し、最後を惜しんだ。

 同音楽祭は、文化庁の文化芸術創造拠点事業。島独自の観光資源を生かし振興策とすることを目的としている。県出身の作曲・編曲家、吉俣良さんが3年間、総合プロデューサーを務めた。

 オープニングは、吉俣さんが手掛けたNHKの大河ドラマ「篤姫」のメーンテーマ。プロの演奏家46人で構成するほこらしゃ奄美管弦楽団と、奄美オーケストラ26人が協演した。

 第1部は、ほこらしゃ奄美管弦楽団がクラシックの名曲を次々と披露。初演奏したスメタナ連作交響詩「わが祖国」では、曲の舞台となったチェコの豊かな情景を見事に表現し圧巻の演奏。一気に沸き上がった拍手の渦が、観客の感動を伝えていた。

 第2部はシマ唄の世界。80歳の誕生日を迎えたばかりの唄者・森山ユリ子さんが変わらぬ声を聴かせ、里アンナさんが豊かな声量を響かせた。

 第3部は、吉俣さんが編曲したオーケストラ演奏とシマ唄が融合。管弦楽団をバックに平田まりなさん、里歩寿さん、RIKKIさんがステージを彩った。ラストは、奄美オーケストラも加わり、中村瑞希さんが「やちゃ坊節」を歌い上げた。会場全体が「六調」を踊りグランドフィナーレとなった。

 宇検村名柄の渡島セツエさん(87)は「久しぶりにオーケストラの演奏を聴いて感動した。楽しい時間だった」と話した。