講話した左から先田光演会長、玉城靖館長、宮城弘樹教授(8日、和泊町)
専門家招き歴史文化講座
「発掘調査で関係性明らかに」 和泊町
【沖永良部】沖縄県今帰仁(なきじん)村の歴史文化を学ぶ講座(和泊町主催)が8日、和泊町役場結いホールであった。島民約60人が参加。600年前から続く沖永良部島と今帰仁村の歴史的なつながりについて理解を深めた。
和泊町は2020年に、知名町と今帰仁村の3者間で友好都市協定を締結。以来、地元の特産品である和泊町のバレイショと今帰仁村のスイカを交換し合う「食材交流プロジェクト」を毎年行っている。今回、さらに親交を深めようと講座を開催した。
最初に、えらぶ郷土研究会の先田光演会長が講話。琉球三山時代に沖永良部島を統治した「世之主」について島に残る伝説などを紹介し「世之主がどのように島を治めていたのかは語られていない。歴史的に考えていく必要がある」と述べた。
続いて今帰仁村歴史文化センターの玉城靖館長が、琉球北山の歴史や今帰仁グスクの発掘調査の成果を説明。今帰仁グスクと沖永良部島で見つかった焼き物を比較しながら、「同じ物が見つかっている。島の伝承を裏付けることは十分可能だろう」とした。
沖縄国際大学総合文化学部社会文化学科の宮城弘樹教授は、考古学の視点から琉球北山について講話。沖永良部や今帰仁グスクで行った発掘調査の中で注目している遺物(銭や錘(おもり)、土器)の特徴を挙げ「貨幣経済や漁網においては近いところがあるが、土器文化においては沖永良部と与論は似ているが、北山とは違い、少し個性がある」と指摘。北山と沖永良部の関係について「今のところ関係を示す遺物は明らかではないが、類似するものもたくさんある。まだまだ不十分なので、発掘をして確度を上げてほしい」と話した。