「徳之島コーヒー」の魅力体感

「コーヒーチェリー」の収穫を楽しむ家族連れたち=11日、伊仙町


摘みたてのコーヒーチェリーの精選体験も

収穫・精選・ばい煎・試飲
生産者会やAGF

 【徳之島】官民連携「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト(PJ)事業」を推進して7年余。徳之島コーヒー生産者会(泉延吉会長・会員約30人)主催の第2回「コーヒーチェリー収穫祭」が11日午前、伊仙町面縄の「AGF・第2実証農場」であった。幅広い世代の85人が参加し、国産コーヒーアイランド化への取り組みに触れた。午後は会場を移して試飲や焙煎(ばいせん)体験など魅力を満喫した。

 徳之島コーヒー生産PJは、味の素AGF(本社東京)をはじめ総合商社丸紅(同)、伊仙町役場、生産者会の4者連携協定(2017年6月)で推進。AGF側は台風対策や土壌改善、収穫豆の精選機や焙煎機不足など課題で支援。新産業構築による〝次世代に引き継ぐPJ〟にも位置付けている。丸紅側は世界中から耐風性など適正品種の選抜・供給面でてこ入れ。町と連携しながら昨年は生産者会で約180㌔を収穫し、9月には「徳之島コーヒー」初商品(パーソナルタイプ・ドリップコーヒー)の発売にもこぎつけた。

 収穫祭の開会式では、経緯説明に続き、泉会長や大久保明伊仙町長、AGFの島本憲仁代表取締役社長らが国産コーヒーの希少価値や有望性を含め「コーヒーアイランド」化取り組みをアピールした。

 今期は干ばつや寒気など気象要因で生育が遅れ気味(収穫見込み量約200㌔)だが、参加者たちは常緑のコーヒーノキの枝で赤色や黄色に熟した実(コーヒーチェリー)を選んで一粒ずつ大切に摘み取って収穫。精選作業なども体験した。

 Iターン家族4人で参加した長谷川智子さん(44)=天城町=は「国産コーヒーに出会う機会って少ないので夫や子どもたちにも見せたかった。相当な労力と手間をかけてわずか約15%(生豆)、焙煎するとさらに減る。一杯のコーヒーの労苦を考えて今後は大事に飲みます」とにっこり。

 会見で泉会長は「若い人たちにも将来性のある徳之島コーヒーの生産を見せたい。AGFさんの支援体制に加えて全量を買い取ってもらえるのが強み。(単収は)サトウキビやバレイショよりもはるかに良い」。AGFの島本社長も「国産の価値は相当高くお客様の思いも強い。種子からの生産・収穫までを行うコーヒーアイランドとして島を豊かにすることに貢献したい」と気を吐いた。

 午後は同町直売所「百菜」(伊仙)でバリスタら専門家を交えた徳之島コーヒーの試飲や焙煎体験、コーヒー染め体験などもあった。