与論島の海の未来について意見を交わす参加者ら(11日、与論町)
【沖永良部】第1回ヨロン島海のシンポジウムが11日、与論町福祉センターであった。与論島で海の環境保全活動を行っている団体が、これまでの活動内容や調査結果を報告。参加者とともに今後残していきたい海の姿を考えた。
シンポジウムは、喜界島サンゴ礁科学研究所と海の再生ネットワークよろんの共催。奄美群島成長戦略推進交付金サンゴ礁資源活用事業を活用した。
最初に、海の再生ネットワークよろん事務局長の池田香菜さんが、毎年夏と秋に実施しているリーフチェックの結果を報告。サンゴの豊かさを示す被度調査では、2018年に台風の影響で激減した茶花沖のサンゴ礁の状況について「23年までの5年間で浅場と深場ともに少しずつ増えてきたが、現在は白化現象で弱っているので注視していきたい」と述べた。
喜界島サンゴ礁科学研究所の鈴木倫太郎さんは、今年度からスタートした「島一周サンゴ被度調査」の内容を発表。5年かけて島のサンゴ礁の状態を調査し、保全に向けた重要海域を抽出していく計画で、昨年11月に島の南側の海域を調査した結果、「調査海域全てのサンゴで白化現象が見られた」と述べた。
このほか、サンゴ増殖事業や海岸漂着ごみの回収量とウミガメ上陸頭数の推移、漂着ごみを入れる拾い箱とごみを使ったアップサイクル事業、ビーチクリーン活動について実施団体が発表した。
後半は来場者も加わり、島に残したい海の姿やそのために必要な活動について意見交換。与論高校の生徒が進行役を務めた。参加者からは「子どもたちが遊べる海を残したい。そのためにもごみを出さない意識づくりをしていきたい」「いまの状態から悪くならないよう昔の海の様子や海の楽しさを伝えていくことが大事」「海の現状をデータ化してみんなに知ってもらう」「与論島で行われている活動を世界へ広げる」などの意見が出た。
与論高校1年の柳田賢斗さん(16)は「海の生き物が増えれば、大好きな島の海がもっと魅力的になる。そのためにも自分でできることをやっていきたい」。同校2年の川畑杏緒さん(17)は「幅広い年代の人からたくさんの話を聞いた。昔は、海の様子も違っていたし、サンゴに対する考え方も違っていて面白いと思った」と話した。