サトウキビの「うぎはぎ体験」(9日、龍郷町戸口)
黒糖焼酎のブレンドに取り組む参加者(9日、龍郷町浦「浦生活館」)
黒糖焼酎の製造工程を体験・見学し、オリジナル焼酎をつくる観光ツアー「焼酎トレイルin奄美大島・龍郷」(主催・県酒造組合、実施主体・㈱し~ま)が9日、龍郷町内を中心にあった。島内外から参加した22人(自治体枠5人含む)は、サトウキビの収穫体験や製糖、蔵元見学を通して黒糖焼酎が出来上がる全工程を体感。町内にある3蔵元の代表銘柄をブレンディングする企画も盛り込まれ、新たなコト消費(体験)観光を創出する機会となった。
同ツアーは、焼酎を軸とした地域の魅力発信に取り組む県酒造組合が2022年度に県本土の3地区で実施。龍郷町では24年2月に、海外在住の輸出入業者や情報誌編集者らを招いたモニターツア―が行われ、2回目の今回は一般参加者を募集し実施した。
奄美市名瀬小浜町の義学さん(69)が同町戸口に所有するサトウキビ畑で、専用の鎌を使った「うぎ(皮)はぎ体験」からツアーは始まり、美ら海工房(奄美市笠利町)では黒糖の製造工程を見学、龍郷町にある奄美大島酒造、町田酒造、山田酒造の3蔵を巡った。
同町浦の浦生活館では、黒糖焼酎のブレンド体験が行われた。参加者は、蔵元の代表から銘柄ごとの特徴などの説明を受け試飲、自分の作りたい焼酎をイメージしブレンディングしていった。ボトルには、手書きのラベルなどを貼って完成させた。
関東圏での生活が長かったという奄美市名瀬の今村慎太郎さん(33)と妻の瑛美さん(30)は「サトウキビを見るのも、専用の鎌を見るのも初めて。かじってみたがほんのり甘かった。黒糖焼酎は関東の友人にも勧めたい」と話した。
鹿児島市から参加した中薗幸男さん(77)、要子さん(77)夫妻は「ブレンディングは貴重な経験になった。前夜、小料理屋で飲んだ4種も香りも良くおいしかった。帰ったらオリジナルの6本をじっくり楽しみたい」と話し帰途に就いた。
県酒造組合の田中完専務理事(焼酎マイスター)は、「焼酎と距離がある人にも体験を通して奥深さを感じる経験になったのではないか。今後はインバウンド層へ向けた展開を図りたい」と語った。