国交大臣賞を受賞

瀬戸内町での取り組みを発表するJALの宮前主任(奄美アイランドドローン提供)

 

 

 

国土交通大臣賞と推しプロジェクトで受賞した関係者ら(奄美アイランドドローン提供)

 

 

 

瀬戸内町ドローン活用住民サービス
式典参加者 投票でも1位

 

 

 

 第7回日本オープンイノベーション大賞(JOIP、内閣府主催)の表彰式が5日、東京都千代田区の内閣府講堂であり、瀬戸内町と日本航空(JAL)、奄美アイランドドローン(AID)、防災科学研究所、筑波大学が連携して取り組む「奄美大島瀬戸内町におけるドローン(無人航空機)を活用した平時・有事対応の住民サービス」が国土交通大臣賞を受賞した。また、式典参加者らの投票による「推しプロジェクト」でこの取り組みが1位に選ばれた。

 JOIPは、「産学連携功労者表彰」を前身に2018年度から実施。組織の壁を越え、ロールモデルとなる先導的または独創的な取り組みの表彰と発信により、オープンイノベーションをさらに普及させ、国のイノベーション創出加速を目的に政府が表彰する。大臣賞、長官賞、経済団体、学術団体の会長賞などがあり、今回は全国各地から審査を経た15の取り組みやプロジェクトが大賞に推薦された。

 瀬戸内町は日本で唯一、海峡を持つ市町村で加計呂麻島、請島、与路島の有人離島がある。台風・豪雨など自然災害時には道路寸断で孤立集落が発生し、平時においても、船舶に頼る移動・輸送は時間がかかるなど、防災から日常生活面にわたる地域課題を抱えていた。同町では解決策としてドローンとICT(情報通信技術)連携を活用した住民向け行政サービスをJALと協力して20年10月から実証実験を進め、23年11月には共同でドローン運航会社のAIDを設立。24年2月29日からサービスを開始した。通常時は請島と与路島へ新聞や医薬品、給食食材の配送、災害や海上荒天時に伴う町営船欠航時の際には救援物資の輸送など災害時と平時を区別しないフェーズフリーでの運航を実施している。また、防災科研や筑波大とも連携し、町の地域防災計画へドローン活用を組み込んだほか、防災訓練では被害状況の確認やICTを合わせた訓練も展開している。

 表彰セレモニーにはAIDの代表取締役で同町企画課の登島敏文課長、JALエアモビリティ創造部ドローン事業グループの宮前和弥主任ら6人が出席。15のノミネーターが3分間のプレゼンテーションで取り組みなどを発表。瀬戸内町での取り組みが国土交通大臣賞を受賞し、会場参加者とインターネットでの視聴者投票による投票による「推しプロジェクト」でも1位に選ばれた。

 受賞の報告を受けて鎌田愛人町長は「有人離島3島を有する本町においては、町営定期船の欠航や災害時の集落孤立などが課題だったが、町とともに大型ドローンを活用した課題解決に取り組んでいただき、このような賞の受賞につなげていただいたJAL、防災科研、筑波大の皆様に心から感謝申し上げる。本町はドローンにとどまらず、さまざまな行政サービスをデジタルファーストで取り組んでいる。ドローン事業においては、災害、物資運搬、地籍や森林調査、スマート農業などを、この度の受賞を契機にさらに推進していきたい」 とコメントを寄せた。