クロウサギなどの保全活動に協力して取り組む協定を締結した伊集院村長(左)と下鶴市長(右)
【鹿児島】大和村と鹿児島市が、アマミノクロウサギなど希少野生動物種の保全活動に協力して取り組む協定を結んだ。18日は鹿児島市役所で大和村の伊集院幼村長と、鹿児島市の下鶴隆央市長らが出席し、締結式があった。
今年4月に大和村はクロウサギの飼育展示施設「QuruGuru」(くるぐる)の開設を予定している。鹿児島市の平川動物公園に続く、世界で2番目となる飼育展示施設となる。今回の連携協定はクロウサギ生息地にある「くるぐる」と、1973年からの飼育実績がある平川動物公園が、飼育管理や治療技術の情報交換、相互研修の実施などにより、高度な救護体制を目指す。また飼育展示施設ならではの共同イベントなどを実施することで、希少動物種の保全活動に対する普及啓発活動のきっかけを作る。
2021年7月に奄美大島と徳之島が世界自然遺産に登録され、奄美大島では「登録が終わりでなくスタート」(伊集院村長)とクロウサギをはじめとする希少種の保全活動に取り組む。「くるぐる」はロードキルなどで受傷したクロウサギの保護、治療、リハビリを経て野生復帰を目指す体制を確立する。クロウサギの基礎研究や、地域の子どもたちをはじめとする来訪者への環境教育や啓発活動などにも取り組む。
下鶴市長は「未来の子どもたちのために、希少野生種保全に対する普及啓発活動や、島外の人が奄美を訪れるきっかけになってくれれば」と期待を寄せていた。大和村では1963年から90年まで大和小中学校で専門家の指導の下でクロウサギの飼育していたことがあり、伊集院村長も「イモのツルをよく食べていて、それがふんになった」などの飼育体験がある。「長年の飼育実績がある平川動物公園の協力は心強く、安心して施設を運営できる。『くるぐる』を通して、クロウサギだけでなく、奄美の希少種全体の生態を守っていくための場所にしたい」と思いを語っていた。