安田市長25年度施政方針

市議会で新年度の施政方針を述べる安田壮平市長

「しあわせの島」実現へ
子育て支援拡充、新たに「しまさばくり応援事業」

 奄美市議会は19日、本会議を開き、安田壮平市長が2025年度の施政方針演説を行った。安田市長は、1期目の締めくくりとなる4年目に懸ける思いを「実(みのる)」の一字で表現。新たな総合戦略案及び住用・笠利地域創生戦略案を今議会に提案したことや、26年3月に市制施行20周年を迎えることなどに触れ、「新たな総合戦略を奄美市未来計画の重点プロジェクトと位置付け“しあわせの島”の実現を目指す」とし、「市制施行20周年に向け、市主催の記念行事の開催や民間主体のイベントを支援するなど機運醸成を図りながら、将来に向けて力強く歩み出す」などと述べた。

 新年度の予算編成については、物価上昇や賃金上昇に着実に対応したほか、引き続き、子育て支援、「かせぐ」力の強化や安全・安心に生活するための環境整備に関する施策の充実を図るとした。政策の基本理念として▽市民の生活満足度向上▽成長の源泉となる元気な経済活動▽次世代への「しまの誇り」の継承―を掲げ、「しあわせの島」の実現を目指すとした。

 市民の生活満足度向上の実現に向けては、子育て世代へのさらなる支援策として、子ども医療費の対象となる全ての子どもについて、所得制限を設けず、医療費窓口負担ゼロを実現する。給食費無償化に向け、非課税世帯の無償化を開始する。診療所の閉院や医師不足などに対して「奄美市医療懇話会」を新設し、持続可能な医療の在り方について議論する。全市的な保育人材の確保・育成を官民一体となって進めるとともに、「私立保育施設魅力向上等実行計画交付金」創設。公立保育所においては、デジタル活用による保育士などの業務負担の軽減を図るとともに、新たな保育アプリの導入により、保護者の利便性の向上を図る。

 また、台風などの荒天時における食料品不足に対応するため、新たに「食料品ストック機能強化支援事業」を実施。離島割引対象外の県外の航路路線について、利用促進及び路線維持を目的として、市民を対象に旅費の一部を助成する。

 成長の源泉となる元気な経済活動の実現では、地域資源を生かした取り組みを促進するため、民間事業者の初期投資を支援する「ローカル10000プロジェクト事業」を進めるとともに、創業・事業拡大を行う事業者に対して、金融機関を通じ、イニシャルコスト(初期費用・導入費用)を支援する「かせぐ力の向上に向けた創業・事業拡大支援事業」を実施する。

 「食と農の総合戦略」策定に取り組み、奄美市ならではの一次産業の強化を図り、生産者の担い手確保、地場産農林水産物の消費拡大、観光客の増加につなげる。タンカンについては「アマミフルーツアイランド確立事業」に取り組み、新たなブランド確立推進員を配置し、農家、JA、奄美大島5市町村が連携してブランド産地の確立を推進する。

 次世代への「しまの誇り」の継承実現については、住用・笠利地域創生戦略に基づき、両地区が抱える課題の解決や、各地区の魅力発揮に向けて市民と一体となって取り組む。住用地区においては、将来を見据えた小・中学校の在り方について検討する、「住用町内学校の在り方検討委員会」を設置する。不登校児童生徒が増加する課題に対し、「あまみ不登校対策プロジェクト」を立ち上げ対策に取り組む。

 新たに「みんなのしまさばくり応援事業」を実施し、学生など若い世代への支援を拡充するほか、市制施行20周年の特別枠を設けるなど、市民が「しまさばくり」に取り組みやすい環境づくりを推進する。

 安田市長は「“挑戦なくして成功なし”という思いを持って、失敗を恐れず、新たな挑戦を続けていく」とし、「自らが先頭に立ち誠実に各種施策を実行・実践していくことで“しあわせの島”を実現することを誓う」と締めくくった。

 同日の本会議では、新年度予算関連議案や条例改正案など25議案が提案された。一般質問は3月4~7日の4日間で、15人が登壇する。