境内のツクシヤマザクラ再生へ

樹齢約90年のツクシヤマザクラを診断する樹木医の後藤瑞穂さん(中央)(23日、高千穂神社)

 

 

「元気に100歳迎えて」
名瀬高千穂神社 樹木医が土壌改良治療

 

 

 奄美市名瀬の高千穂神社(當郷裕之宮司)で23日、境内にある樹齢約90年の「ツクシヤマザクラ(筑紫山桜)」の再生に向けた土壌改良・地力回復治療が行われた。瀬戸内町・諸鈍集落「デイゴ並木」の樹勢回復作業を受託している㈱木風(こふう)=東京都=の代表取締取締役社長で樹木医の後藤瑞穂さん(56)が、サクラの周囲に土壌改良剤を埋め込み治療を施した。順調に回復すれば、2027年春にも大きな花弁の白い花が咲くという。

 サクラは1935(昭和10)年、同神社の社格が「郷社」から「県社」に昇格したことを記念し、当時の宮司が植樹したもの。當郷宮司が神職となった2003年からしばらくは満開の花を咲かせていたが、約10年前、主幹が折れてから樹勢が衰えていったという。

 當郷宮司からの依頼でこの日、外観診断を行った後藤さんは、枝の伸びや樹皮に着いたコケ、日当たりなどを確認し、「地盤が踏み固められ、根が栄養を吸収できなくなったことが一番の原因」と分析した。

 早速治療に取り掛かり、同市名瀬平松町にある㈲中山造園の中山和紀さん(35)とともに、サクラの周囲6か所に「ブレスパイプ」という竹筒型の土壌改良剤を埋め込んだ。

 治療を終えた後藤さんは「放置すればいつ倒れてもおかしくない状態。改良剤に配合された竹炭などが土中の微生物を活性化させ、土壌を改善する。これだけでは十分な治療とは言えないが、新たな枝が伸び元気を取り戻してくれることを祈りたい。元気に100歳を迎えてほしい」と話した。

 當郷宮司は「車のお祓(はら)い場に近いので、柵を設け根元を保護したい。雨水が根の土を流しているなど指摘を受けた。少しでも枝が伸びたくさんの花が咲くことを祈りたい」と話した。

 ツクシヤマザクラ(別名ツクシザクラ)は大型の葉や花が特徴で、同神社では毎年2月の終わり頃から3月にかけて白い花を咲かすという。