ナイトツアー可能性探る

5人が登壇し活発に意見の交換がされた、パネルディスカッション

2講演とパネルディスカッション
奄美市

 シンポジウム「奄美のナイトツアーの可能性~自然遺産を生かした世界水準の観光地づくり~」(奄美大島三太郎線周辺における夜間利用適正化連絡会議事務局主催)は24日、奄美市役所であった。観光関連団体やエコツアーガイド、市民など70人以上が参加。同市住用町の三太郎線のナイトツアーの取り組みなどを通して、地域と連携した地域振興や持続可能な地域づくりについて学び、考えるきっかけとした。

 奄美市名瀬出身で、奄美博物館の平城達哉学芸員と奄美市政策アドバイザーの岩浅有記・大正大学准教授の講演及びエコツアーガイドなどによるパネルディスカッションがあった。

 平城学芸員の講演は、演題「夜の奄美の森の魅力について」。夜の森で調査した夜行性生物の発見数やハブ、アマミトゲネズミの特性などについて講話した。

 岩浅准教授の講演は、「地域が主役の協働による自然観光の在り方について」。市場規模を拡大しているアドベンチャーツーリズムなどについて講話し、「自然と文化を守るとともに、地域社会や経済に対して持続可能で責任ある観光」とした。また、エコツーリズムの海外の事例などについても説明した。

 岩浅准教授はこれからの世界水準の観光地について、「自然や文化など地域の価値を安売りする観光ではなく、地域の価値を共感・尊重する観光客に来てもらうことが重要になる」とし、「地域社会、環境文化、地域経済の三つの視点から考えることが必要」と述べた。

 パネルディスカッションのテーマは「奄美大島におけるナイトツアーを生かした地域づくり」。岩浅准教授がコーディネーターを務め、パネリストとして平城学芸員、住用町で民宿を経営する和田美智子さん、奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の富岡紀三副会長、三太郎線でナイトツアーを行うエコツアーガイドの井上祐輔さん、環境省奄美群島国立公園管理事務所の広野行男所長が登壇した。

 三太郎線の夜間利用ルール開始後のメリットやデメリット、島の魅力の伝え方、アドベンチャーツ―リズムの考えに基づいた今後の観光の在り方、世界遺産センターの活用など、活発な意見交換が行われた。