県、防災対策を充実・強化

昨年5月、約80機関・約1000人が参加し奄美市で行われた県総合防災訓練。県の防災対策は、充実・強化を目指す

初動対応で予測調査
地域防災計画見直し

 国は、避難所運営、物資調達・輸送などの検証を行い、それを踏まえた防災基本計画の修正を行うとともに、能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方について報告書をまとめた。国の対応等を踏まえ、鹿児島県は地域防災計画について見直しを行ったが、2025年度当初予算案でも充実・強化を打ち出している。

 記者会見で予算説明を行った塩田康一知事が「初動が一番大事。遅れのないように取り組みたい」と述べたのが、新規の地震等災害被害予測調査事業(7200万円、債務負担行為6200万円)。事業内容は、▽災害からの被害軽減を図るため、本県で起こり得る地震・津波などの自然災害について、被害の予測調査実施▽予測調査にあたり、助言及び提言を得るため、有識者会議を開催。国の南海トラフ地震にかかわる被害想定の見直しや熊本地震、能登半島地震から得られた教訓や課題等を踏まえ予測調査の見直しを行う必要があったため取り組むことになった。

 被災者支援も見直される。大規模災害時、被災者には、国の制度により被災程度に応じ最大300万円の被災者支援がされるが、適用条件により対象外となる小規模災害の場合、県独自の制度で一律20万円の支援となる。「国の制度と比べると、支援内容に大きな差が生じている状況」(知事)で、見舞金的な事業を生活再建支援(2800万円)に拡充する。県の制度が安定的に運用できるよう、県及び市町村の負担で設置している被災者生活支援基金の積み増しを行う。

 このほか新規では、県の対策マニュアルを踏まえた市町村の地域防災計画等の見直しなど孤立化集落対策促進、災害用物資・機材等の備蓄の在り方検討事業、トイレカー整備事業、災害時水循環型シャワー等整備事業などが進められる。

 なお、県の地域防災計画で国の施策の進展等を踏まえた修正では、災害時感染制御支援チーム(DICT)の支援・強化もある。避難所などの感染症予防対策、感染症予防のための薬剤処方や予防接種にかかわる助言、感染症診療にかかわる技術的支援などを行う同チームの活動内容について記述を追加している。また、本県の施策の進展等を踏まえ修正されたのが、在宅難病患者等への停電時の対応強化。「県は、医療機器依存度の高い災害時要援護難病患者・長期療養児等への支援について、予備電源の確保等、日頃の備えについて啓発を行うとともに、市町村や医療機関等との連携による入院先や受け入れ先の確保の調整を行う」という記述を追加している。