ノネコ捕獲検討会

新たなノネコ発生源として農地のノラネコ問題が浮上した(26日、アマホームPLAZA)

25年度から全域捕獲へ
農地エリアのノラネコ問題浮上

 生態系に影響を及ぼす森林内のノネコの排除と発生源対策を協議する環境省主催「2024年度奄美大島における生態系保全のためのノネコ捕獲等に係る検討会」(座長・石井信夫東京女子医大名誉教授、検討委員5人)が26日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。関係者約80人が出席。環境省は25年度から、未実施だった北部3地域と南部1地域で捕獲作業に着手し、奄美大島全域での捕獲作業を展開する。

 ノネコの捕獲は、環境省、県、奄美大島5市町村が策定した「ノネコ管理計画」に基づき18年から実施し、24年末までに714個体が捕獲されている。

 24年度は龍郷町龍郷(6月~)、同町秋名(7月~)、奄美市名瀬崎原(8月~)の3地区を重点捕獲地域に加え計17地域で捕獲作業を行い、捕獲個体数は133個体(12月末時点)、うちTNR(避妊・去勢済み)個体は45個体だった。

 環境省は、在来種のモニタリング対象種となっているアマミノクロウサギ、ヤマシギ、トラツグミの3種は、ノネコの減少に伴い生息分布域の拡大が見られるが、アマミトゲネズミやケナガネズミは減少傾向と報告。繁殖期の主要な餌となるスダジイの豊凶が生息数に影響すると分析した。

 「奄美大島ねこ対策協議会」(5市町村で構成)は、対策空白地となっている農地の外飼いネコやノラネコの調査結果を示し、「森林域と居住地の間に広がる農地のネコがノネコの発生源となっている」として、不妊化の推進など対策の強化を訴えた。

 環境省は現在、「ノネコ管理計画ロードマップ」で区分けされた捕獲作業地域全21地域のうち17地域で捕獲を展開。25年度は、未実施の4地域について、瀬戸内町西古見、龍郷町赤尾木、奄美市笠利町節田、同町赤木名の順に着手し、全域での捕獲体制を整える。

 石井座長は「希少種も増加傾向にあり事業は順調と感じた。ただ、居住域から森林域に上がるネコの発生源対策がこれまで以上に重要になる。5市町村と国が連携し対策にあたってほしい」と話した。