野生動物の交通事故を防ぐ新プロジェクト「NISSAN・ANIMALERT」のイメージ画像(日産自動車提供)
日産自動車(神奈川県本社)は3日、車と野生生物の接触事故(ロードキル)ゼロを目指すプロジェクト「NISSAN・ANIMALERT(アニマラート)」を始めたと発表した。歩行者に車両の接近を知らせるEV(電気自動車)の通報音技術の仕組みから着想し、野生動物に対応した新たな装置の開発につなげる試みで、第1弾は奄美大島を実証の舞台に、国の特別天然記念物・アマミノクロウサギの保護につなげる。
第1弾は、環境省や奄美市、岡山理科大学などの産官学7団体が連携し推進する。奄美大島での走行実験開始に伴い、国連が定める「世界野生生物の日」に合わせて発表した。
プロジェクトでは、同社EVの接近通報装置の技術に着目し、動物にも車の接近を知らせる装置の開発を進める。具体的には、特別な高周波音を車から発信することで前方にいる動物たちに接近を伝えていく。昨年12月に奄美大島で行われた時速10㌔の走行実験では、装置のスイッチを入れた途端にアマミノクロウサギが逃げ出す動作も確認されている。同社ブランド&メディア戦略部の地元亜由子さんは「人を守る音だけでなく、動物を守る音にも取り組もうというのが今回のコンセプト。野生動物の交通事故ゼロも目指したい」と意気込みを話す。
同社はこの日、発表に併せてプロジェクトのコンセプトムービーと関係者のインタビュームービーを公式のユーチューブチャンネルやSNSで公開した。ナレーターには、東京と奄美大島で2拠点生活を行うタレントのIMALUさんを起用。インタビュームービーには奄美市世界自然遺産課の星野蒼一郎さん、環境省奄美群島国立公園管理事務所希少種保護増殖等専門員の鈴木真理子さんらが登場し、「まったく新しい視点での取り組み。非常に期待している」などと語っている。
奄美大島では今後、速度に応じた挙動データを積み上げるなど、技術確立を目指していく。将来的には、全国で発生する野生生物のロードキル問題の解決に貢献していくという。