県議会3月定例会は5日、引き続き一般質問(最終)があり、池畑知行議員=自民党、伊佐市区=、内田一樹議員=自民党、薩摩川内市=、橋口住眞議員=無所属、出水市区=、松山さおり議員=自民党、奄美市区=が登壇した。インバウンド(訪日客)を地方に誘致する高付加価値な観光地づくりでは沖縄・奄美エリアもモデル地域に選定されたが、共通する「長寿文化」をコンセプトに沖縄・奄美を巡る4泊5日のモデルプラン造成が報告された。
松山議員の質問に西正智観光・文化スポーツ部長が答弁で明らかにした。沖縄・奄美の連携による観光産業の成果目標(マスタープランで設定)は、奄美エリアの場合2023年の奄美群島内の外国人延べ宿泊者数約4600人泊を27年時点で1万3300人泊、31年時点で1万9400人泊設定している。
西部長は「沖縄・奄美は世界に誇れる自然と独自の文化を有しており、知的好奇心を満たすための学びを求めてアクティブに動く富裕層をひきつけるポテンシャル(潜在力)を有している」とする一方で、質の高いサービスを提供できるガイド、コンシェルジュ(総合的な案内人)といった観光人材が不足しているほか、豊富な食材や食文化があるものの「地域によっては宿泊施設の夕食提供で困難など食を十分に楽しむことができない課題も存在する」と指摘した。
そこで今年度、エコツアーガイドが同行する湯湾岳のeバイク体験や大島紬の泥染め体験を含む体験型メニューを作成。また、奄美大島の複数のシェフが地元の食材を活用し田中一村の絵画をイメージした料理を共同で試作提供する「ガストロノミーツーリズム」実証事業が実施された。西部長は「これらの成果を基に専門家による磨き上げを行った上で奄美・沖縄が共通する『長寿文化』をコンセプトとしたモデルプランが造成された」と説明。引き続きエコツアーガイドやシェフ等の人材育成に努め、安定的な旅行商品の供給体制構築と高付加価値滞在先としての認知度向上を図り、富裕層の誘客に取り組むとした。
松山議員が質問した大島紬の普及・拡大で、22年度から鹿児島と奄美の両生産組合で構成する本場大島紬協同組合連合会との連携では、新年度の取り組みを塩田康一知事が説明。同連合会の意向を踏まえて新たに「県外の大島紬愛用者のほか、着物や伝統文化に関心のある潜在顧客等をターゲットに製造工程の一部や着付けの体験、展示販売などを行う産地ツアーを実施するほか、着物インフルエンサー(SNSなどネットメディアを通じて消費者の購買意思決定に大きな影響を与える人)等も帯同し、情報発信してもらうことで新たなファンの確保を図りたい」と述べた。
奄美群島と沖縄の交流強化で運賃軽減化が進む一方、航空路線で奄美大島発沖縄行きの直行便が与論島経由となっているアクセスの不便さについて竹内文紀・地域政策総括監は「同路線が両地域の交流促進に加えて奄美群島住民の生活路線として重要な働きを果たしていることを認識しており、航空会社に対し路線維持と利便性の向上を要望している」と述べた。
本格焼酎を含む伝統的酒造りのユネスコ無形文化遺産登録を生かした今後の焼酎振興の質問があった。北村貴志・商工労働水産部長は「世界的に評価された焼酎の製造技術や焼酎文化の価値を海外の酒類事業者等に理解してもらい消費者に訴求する情報発信や販売促進を行ってもらうことが重要」と答弁した上で、新年度の取り組みを説明した。
それによると新年度、海外の酒類事業者に対し焼酎学の講義や蔵元での製造技術体験等を通じて、その価値を深く認知してもらう取り組みを実施する。さらに多言語動画を作成し海外トップセールスやインバウンド向けのPRなどさまざまな機会で発信していく。インバウンド誘客はこれまでの取り組みに加えて外国人観光客に焼酎や焼酎文化を丁寧に伝えていけるようサツマイモ畑での収穫体験、黒糖焼酎蔵でのシマ唄体験などの体験型メニューを旅行商品に盛り込むなど登録を契機にさらなるインバウンド強化を図るとした。
