節田・高層ホテル計画

奄美市笠利町節田集落に計画されている高層ホテル建設で、企業側による初めての地域住民説明会が開かれた(会場の外からの撮影)

 

 

 

「反対、再考を」
企業側が住民説明会「意見持ち帰り回答」

 

 

 

 奄美市笠利町節田の県奄美パークに近い海沿いの私有地に計画されている高層ホテル(12階建て)建設に関し、企業側による初めての住民説明会が5日夜、あった。住民説明の前に着工を決めたことについて企業側は「大いに反省している」と陳謝したが、計画へのさまざまな不安・不満を根底に出席者から「反対、再考」を求める意見が相次いだ。

 説明会を開いたのはホテル新築事業の事業主・奄美笠利町合同会社(特別目的会社で、不動産の総合的運用、運営、管理は資産運用会社の㈱アヴァルセックに委託)、運営会社(㈱レンブラントホールディングス)、設計会社(㈱コイケデザインワークス)。節田小学校体育館で行われ、節田集落のほか和野集落など校区住民を対象にした。報道機関にも公開したものの、説明会が行われた会場内の録画、撮影は「プライバシー、著作権、肖像権保護の観点からお断り」とし制約を設けた。また、「校区を対象とした説明会」として報道機関からの質問は受け付けず、質問は別途書面で提出を求めた。

 企業側は計画までの経緯、ホテルの構造・規模などを説明した上で、計画地での建設理由として「奄美空港に近く観光拠点の奄美パークの隣。土地は宅地造成されており、自然を壊すことなく建設できる」。最も懸念されている12階建て(建物最高高さは約40㍍)の高層については、設計側が建物のイメージ図を示し「奄美パークの屋根(レストラン部分)とほぼ同じ高さ。一番目立つことはない」。地域貢献で雇用面は「50人前後。周辺地域の皆さんに勤めていただきたい。東京都と鹿児島県の最低賃金格差を埋めるぐらいの給与水準にし、県外からの移住者を増やすきっかけにしたい」。

 説明後、質問の場が設けられた。出席した住民からは、▽プールが設けられることから、その排水や工事中の赤土流出など海洋汚染の恐れ▽周辺には通学路があり、交通量が増えることで子どもたちの事故の危険性や治安の悪化▽計画を最終決定する前に住民説明会を段階的に開き、住民の納得を前提にすべきだった。説明会開催が遅すぎる▽住民が反対でも建物を整備するのか▽現状では地域とホテルの良好な関係は難しい。低層ホテルに切り替える余地はあるのか―など不安や不満から反対や計画の再考を求める意見が相次いだ。「ここは都会と異なり、子どもたちは地域に育まれて伸び伸びと暮らしている。子育ての魅力を壊さないで」という涙ながらの訴えもあり、拍手が起きた。

 地域住民が反対しても建設を強行、高層を低層にするなど計画の見直しについて企業側は「事業性、地域に貢献できるという考えで計画を進めている。着工を延期しただけに、校区の皆さんと交渉しながら計画を進めたい」「計画の変更は現状では『分かりません』としか言えない。今回の意見を必ず会社に持ち帰り、役員に説明し、その結果を回答という形でもう一度示していきたい」と述べた。

 このほか奄美市景観計画の届け出制度(市内で一定規模を超える建物や工作物など建築する場合)に基づいた手続きに関する質問があった。設計担当者は「景観計画は届け出制度であり許可制度ではない」とした上で、市景観審議会に説明したところ「問題性はない」と判断されたとした。

 企業側の説明について節田集落の長谷川雅啓区長は「説明会が実施されたことはありがたいことだが、計画が固まる前にもっと早く開催してほしかった。計画地近隣住民、集落住民の暮らしなど丁寧に時間をかけてリサーチすれば、設計変更の余地があったのではないか。市景観審議会も設計側の説明を聞くだけでなく現地を訪れ、現状を見て判断すべきと思う。地域住民が反対しても、それを無視しての建設強行は絶対に避けてもらいたい。これからも繰り返し説明をお願いしたい」と語った。