抵抗性品種、増殖へ

昨年5月、奄美群島で発生が確認されたサトウキビ黒穂病。対策として県は抵抗性品種の普及に向けて種苗増殖に取り組む

サトウキビ「黒穂病」対策で県
2品種を選定

サトウキビの重要病害「黒穂病(くろほびょう)」は、発生したほ場に散布する薬剤がないため、発病株の抜き取りや抵抗性品種への植え替えが必要となっている。「最も効果的な対策」とされる抵抗性品種導入へ県は奨励品種を選定し、普及に向けて今年から種苗増殖に取り組む。

開会中の県議会3月定例会一般質問で寿肇議員=自民党、大島郡区=が取り上げ、米盛幸一・農政部長が答弁した。黒穂病は単収や品質が著しく低下する病害。昨年5月には奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島の計118ほ場で発生が確認された。

これを受け県は昨年5月、注意報を発出するとともに6月には対策研修会を開催。ほ場の確認や発病株の抜き取りを徹底したことで現在まで被害の拡大は確認されていない。

対策で抵抗性品種の導入では、昨年、県奨励品種検討審査会において「黒穂病抵抗性が極めて強く生産性の高い2品種を新たに奨励品種に選定した」(米盛部長)。この2品種を今年から増殖に取り組む。黒穂病に抵抗性がある奨励2品種を農家が栽培できる時期は、熊毛地区を対象とした1品種が29年産から、奄美地区を対象とした1品種は5年後後の30年産から予定している。

県病害虫防除所によると、黒穂病の発生生態及び被害として①罹病(りびょう)茎は健全茎よりも茎が細く、節間が伸びて徒長し、先端部は長い鞭状物(いわゆる黒穂)を抽出する②病原菌は糸状菌(カビ)であり、胞子が風や雨水で分散し、地上茎や地下茎に感染する③株出し回数が多くなるほど感染リスクは高まる④罹病株から採苗すると植え付け後に発病し、周辺ほ場へも広がる―がある。

このほか奄美群島の基幹作物・サトウキビに関して単収向上へ刈り取り機械では、普及している小型ではなく中型ハーベスター導入へ事業スキーム(枠組み)の質問があった。米盛部長の答弁によると、国の直接採択事業のサトウキビ生産性向上緊急支援事業や同農業機械等導入支援事業の活用が可能。両事業の要件として受益農家戸数が3戸以上、生産量5%以上増加などの成果目標設定があり、補助率は10分の6以内。事業活用にあたっては市町村が作成する地域農業の将来の在り方を示した地域計画、島ごとに作成するサトウキビ機械化方針への位置付けなどが重要となっている。