赤い手、青い手。子どもたちの手が瑠璃色のルリカケスを作り上げていく
完成した壁画に誇らしげな表情の子どもたち(8日、崎原小中学校)
奄美市名瀬の崎原小中学校(鑪(たたら)謙治校長)で8日、武蔵野美術大学(通称ムサビ)=東京都=の学生と同校の児童・生徒がコラボレーション(協力)した壁画アートが制作された。前日、ムサビ生が緑色に描いた鳥は、子どもたちの〝手〟によって、みるみるうちに奄美大島の固有種ルリカケスの姿に変化し、見物に訪れた住民や保護者ら約50人の目を楽しませた。
ムサビ生が全国の小中学校を訪れる「旅するムサビプロジェクト」の一環。2008年に始まり、奄美大島での活動は15年から。同校では2年連続で、昨年はアカショウビンを描き、子どもたちが手形を押し完成させた作品が学校のシンボルとなっている。
壁画アートを制作したのは同大造形学部の4学科(油絵・彫刻・工芸工業デザイン・日本画)1~4年生11人。7日朝から制作に入り、校門横のコンクリートブロックの壁に幅約10㍍のベースの色(エメラルドグリーン)を塗り、大きく羽を広げた「緑の鳥」を描いた。
8日は子どもたちも参加。バケツに用意された7色のイベントカラーに手を浸し、一斉に手形をつけていった。小さな手形の上に次々と色が重なり、緑の羽は複雑な瑠璃(るり)色に変わっていった。
この変化はムサビ生の狙いでもあった。工芸工業デザイン学科1年の尾鼻真奈美さん(19)は「手形の色が交ざり合い、ルリカケスの羽が出来上がる過程を経験してもらいたかった」「普段は一人で作業することが多いので、子どもとのコラボで新しい視点が得られた」と話した。
小学3年生の岩越柚妃(いわごしゆずき)さん(9)は「全部の色を手に付けて塗った。だんだん本物みたいに変わって楽しかった」、小学4年生の瀧田くるみさん(10)は「去年より手形をいっぱい押せた。来年も来てほしい」といつまでも笑顔が絶えなかった。