企業・保育所・自治会が合同で行った避難訓練(12日、奄美市名瀬平田町)
奄美市名瀬平田町で12日、企業・保育所・自治会による合同避難訓練があった。会社員や自治体役員らは保育士と連携をとりながら園児60人を約200㍍離れたグラウンドに避難誘導した。約100人が参加した訓練は円滑に進み、地域一体となった防災意識の高まりを感じさせた。
合同訓練は、自主避難訓練を毎年行っていた㈱前田建設(前田浩寿代表取締役)が2023年、隣接する平田保育所(植田まゆみ所長、園児68人)に呼び掛け実施し3回目。24年から平田青空自治会(戸田正利会長)も加わり3者合同で実施している。今回は、同社13人、同保育所77人(園児60人、職員17人)、同自治会8人の計98人が参加した。
まず、地震の避難訓練を保育所単独で実施。園児は、机の下で落下物を避ける方法などを学んだ。その後、近隣の自治会集会所から火災が発生したとの想定で、200㍍離れたグラウンドまで全員で避難した。
火災発生の連絡を受けた同社社員2人が消火器を持って現場へ急行し、自治会役員とともに1次消火にあたった。ほかの社員は、保育所に駆け付けて年少の園児をストレッチャーに乗せるなど避難を手伝った。女性社員は避難経路の誘導にあたり、自治会の高齢者も手伝った。
全員が避難を終了しグラウンドに集合したしたのは約7分後。それぞれが点呼を行い、全員の無事を確認した。
戸田会長は「自治会のみではこうした規模の訓練は難しい。企業の力を借りることができ、ありがたい」と感謝を表した。
植田所長は「災害はいつ起こるか分からない。いざというときに備え、地震、津波、火災など〝想定内〟を増やせるよう取り組んでいる。いざという時に備え、地域との協力関係を築いていきたい」と話した。
前田代表取締役は「地域に根差した企業として、命の守り手でありたい。社員の命も、子どもや高齢者の命も同じ。これからも訓練を続けていく」と力強く語った。