青少年ミュージカル「KIKUJIRO」(15日、龍郷町りゅうゆう館)
幕末・維新の英雄、西郷隆盛と妻・愛加那の息子で、龍郷町を旅立ち日本の政治史に名を刻んだ西郷菊次郎(1861~1928年)の生涯を演じた青少年ミュージカル「KIKUJIRO」(同実行委員会主催)が15日、同町りゅうゆう館で初日を迎えた。小中高生39人が、1年間の稽古で磨き上げた歌唱力・演技力・舞踊力をいかんなく発揮。客席を埋めた約570人は、子どもたちのひたむきな情熱に大きな歓声と拍手を送った。
同ミュージカルは、菊次郎の生誕160年を記念し2022年に初開催し今年で4回目。4期生は、小学生16人、中学生12人、高校生11人の39人で構成。毎週1~3回の稽古が1年を通してあり、この日本番を迎えた。
総合演出は、劇団ニライスタジオ(鹿屋市)主宰・松永太郎さん(50)。同スタジオメンバー(2人)、大島高校ダンス部(10人)を加えた総勢51人とOGも参加し華麗なダンスと歌で、菊次郎の波乱の人生を演じた。
舞台は2部構成。1部では、流刑となった隆盛と愛加那の出会い、菊次郎の誕生から旅立ちを描いた。2部は、菊次郎が支長を務めた台湾宜蘭(イーラン)時代。のちに「西郷堤防」と称された築堤の様子を現地の人との関わりを交え描写した。
今公演では、愛加那役、少年期・青年期の菊次郎役など主要キャストは再演(16日の愛加那役はダブルキャスト)となった。それぞれの役は深まりを見せ、ステージに安定感が生まれた。
オープニング、エンディングはがらりと演出を変えていた。全体を通して、菊次郎の一生をより克明に描き、それを子どもたちは見事に演じきった。
初日の愛加那役、奄美高校3年の瀧愛華(まなか)さん(18)は「ダブルキャストが演技にいい影響を与えた。一日一日の重みが違っていたように感じる。力を入れてきた歌も練習の成果を発揮できた」と振り返った。
青年期の菊次郎を演じた龍南中3年・山口京桜(ゆら)さん(16)は「去年の経験を生かし、前半シーンでの気持ちの入れ方にこだわった。客席に語り掛けるような歌を追求した。緊張なくやり切れたと思う」と話した。
16日午後2時からの最終公演はすでに満席。町を上げての菊次郎熱の高まりを感じさせた。