鹿児島県内では初めて伊仙町で確認された「セグロウリミバエ」(沖縄県病害虫防除技術センター提供)
県は19日、主にウリ科の果菜類に被害を与える重要な害虫「セグロウリミバエ」が伊仙町に設置している調査用トラップで誘殺されたと発表した。県内での誘殺確認は今回が初めて。国の「重要病害虫発生時対応基本指針」に基づき初動対応が実施されている。沖縄県では昨年3月以降、誘殺確認が続いており、来月から国の緊急防除が行われる。
経営技術課によると、17日、同町犬田布に設置している調査用トラップ(ミカンコミバエ・ウリミバエ誘引用)において、セグロウリミバエの雄成虫1匹の誘殺を確認したもの。国の指針に基づき、国・県・町による初動対応が進められている。
初動対応は、トラップ調査(33基を増設し計46基。今後2週間は、週2回の調査実施)、寄主果実の調査(誘殺地点から半径2㌔㍍円内の菜園等の寄主果実(主にウリ科)を採取し、5日間以上の保管後、幼虫の有無確認)、ベイト剤防除(散布)。寄主果実の除去は、今回確認された地点から半径1㌔㍍円内の不要な寄主果実については、19日、来月8日に関係者により除去。半径2㌔㍍円内の不要な寄主果実は、地域住民へ自主的な防除要請を始めた。
伊仙町で誘殺に至った要因(経路)について農林水産省門司植物防疫所は「3月に入り発生地域の中国、台湾から徳之島の方への風を観測している」としており、風による飛来の可能性がある。鹿児島県内で初確認となったが、同植防は「速やかに見つけ早めの防除が肝要」と警戒を呼び掛けている。
沖縄県病害虫防除技術センターによると、同県では沖縄本島北部の名護市で、ウリミバエ用トラップに昨年3月~5月に計7匹、伊是名村(伊是名島)で5月1匹のセグロウリミバエの雄成虫を誘殺。過去には石垣島で1998年及び2003年に、同様にウリミバエ用トラップで誘殺が確認されており、同県では21年ぶり、沖縄本島では初確認となった。
誘殺及び寄生果の確認は今年に入っても沖縄本島各地で続いており、2月の状況(誘殺総数)では3日12匹、10日24匹、17日34匹、25日22匹となった。国は4月14日から緊急防除を行うことを発表しており、対象地域は本島の全市町村。これによりゴーヤー(ニガウリ)やキュウリ、パッションフルーツなどは、植物防疫官の検査で付着の恐れがないと認められたもの以外は同島外への移動ができない。
セグロウリミバエ 体長7~8㍉の小型のハエの一種。主にウリ科(キュウリ、スイカ、カボチャ、メロン、トウガン、ニガウリ等)の生果実を加害。その他、ナス科(トマト、ピーマン等)、パッションフルーツ、スモモ、パパイア、ドラゴンフルーツ等の生果実にも寄生。沖縄県では、家庭菜園のウリ科生果実から寄生が確認されている。
雌が果実に産卵し、果実内で幼虫の食害が進行すると果実が腐敗・落果する。幼果から熟果まで、広い生育段階の果実に産卵する。世界における発生地域は、中国、台湾、インド、東南アジアなど。植物防疫法において、検疫有害動植物に指定している。(鹿児島県発表資料から)