宿泊税1泊200円答申

報告書を手にする松田忠大委員長(右)と安田壮平市長

 

 

価値向上と伝統・文化継承を
奄美市世界遺産財源創設検討委

 

 

 
 安田壮平奄美市長の諮問を受けて宿泊税導入の協議を進めてきた「奄美市世界自然遺産に関する新たな財源創設検討委員会」(委員長・松田忠大鹿児島大学法文学部長、委員9人)は21日、2024年度第7回会合を開いた。新たな財源として、宿泊税1泊200円とする報告書をまとめるとともに、安田市長に答申した。報告書を受け取った安田市長は「足かけ3年にわたる真摯(しんし)かつ熱心な議論に感謝する」と述べ、「今後は先進事例などを調査するとともに、詳細な制度設計に取り組んでいく」とあいさつした。

 同委員会は、知識人で構成する「同市世界遺産活用プラットフォ―ム」から「法定外目的税導入」の提言を受け23年に設置。世界自然遺産の価値を高める取り組みを継続的に実施していくことを目的に、23年8月から7回の会合で制度設計の検討を進めてきた。

 報告書は、▽新たな財源確保の必要性と確保された財源の使途▽宿泊税徴収による新たな財源確保のための制度案について▽宿泊税徴収に関する懸念事項への対応▽宿泊税徴収による新たな財源確保の方策に関する各委員からの意見・要望―などが盛り込まれた。まとめでは、関係事業者や宿泊者など、宿泊税の徴収について広く社会の理解を得る努力や、制度設計に際しては特別徴収義務者の負担を最小限にとどめることなどを求めた。

 松田委員長は「委員が紳士的かつ熱心で、方策の一つを提案できたのは良いこと」とし、「徴収にあたっては、広く社会の人の理解を得るとともに、世界自然遺産の価値向上と暮らす人たちの伝統・文化の継承につなげてほしい」と語った。

 宿泊税は「法定外目的税」となるため、市議会での審議を経て、条例を可決、総務大臣の同意を得て導入となる。同市では27年4月1日からの導入を目指す。