大島地区3月子牛競り

 

 

 

3月の子牛競りでは総平均価格が50万円台に達した。価格上昇には商品性の高い子牛づくりが課題となっている(資料写真)

 

 

 

平均ほぼ2年ぶり50万円超
購買意欲高く前回比6万円高
商品性で高値に

 

 

 JA県経済連肉用牛課奄美市駐在は21日、3月の大島地区子牛競り市結果をまとめ、公表した。子牛市況の総平均は51万1152円で、前回(今年1月)比6万6659円高と上昇した。大島地区では2か月に1回子牛競り市が開かれているが、平均価格が50万円を超えたのは2023年5月競り(52万928円)以来ほぼ2年ぶり。

 今回の競りは1日の与論市場から始まり、各島の市場を北上し7日の喜界島で終了。全体の入場頭数は1793頭(雌772頭、去勢1021頭)で全て売却。平均価格は雌43万5212円(前回比6万7357円高)、去勢56万8572円(同6万851円高)といずれも上昇した。

 平均価格の推移をみると、23年5月は52万円と50万円を超えたが、続いての競りとなった7月は49万円と50万円台を下回り、同年最後の競りの11月は41万円まで下がった。24年は初競りの1月45万円と持ち直し、3月は48万円まで上向いたものの、その後の競りは5月(44万円)、7月(40万円)、9月(同)、11月(41万円)と低迷が続いた。国際情勢の影響を受けて飼料価格の方は高騰しており、支出増収入減で子牛生産農家は厳しい経営を強いられている。

 今年に入り初競りの1月は44万円、続いての今回は大きく上昇した。相場の要因について同駐在は、▽肥育農家にとって3月に仕入れた子牛は枝肉の最需要期の年末に出荷できることから購買意欲が高かった▽大島地区に限らず、子牛競り上場頭数が減少傾向にあり、肥育農家の素牛確保が困難になっている―を挙げる。今年の夏から秋頃にかけてさらに、子牛の上場頭数が減少する見込みとなっており、「市場への上場頭数の多さが今後、魅力の一つとなってくる」可能性があるという。

 3月競りの価格上昇を一過性のものにしないためにも日頃から徹底した管理で商品性の高い子牛づくりが求められる。同駐在は「枝肉重量の見込める牛、産歴の若く血統の良いものが高値で取引され、商品性の低い牛(過肥牛、骨量のないもの、フレームのないもの)については、価格が伸びなかったようである。体重の重いものが高く取引されているのではなく、骨格のしっかりとしたもの、腹袋の充実したものが高く取引されている」として、日々の飼養管理の差が子牛価格の差に顕著に表れていることを指摘。生後3か月までの「餌付けの給与とその後の適正な飼料給与(配合飼料と粗飼料のバランス)が非常に重要」としている。

 なお、合計平均価格にかかわる市場ごとの順位をみると、与論の52万213円を筆頭に、沖永良部、徳之島、奄美大島、喜界の順。購買者から見た子牛評価の指標である平均単価(キロあたり)で市場を格付けすると、沖永良部の1950円を筆頭に、与論1935円、喜界1915円、徳之島1848円、奄美大島1776円の順。競り日齢にかかわる市場ごとの若齢順位は、喜界251日、与論・沖永良部263日、徳之島271日、奄美大島273日の順となっている。