県議会本会議

血液製剤安定供給陳情を採択 奄美群島「早急に構築すべき」
副知事に藤本氏再任

 県議会3月定例会は25日、本会議があり、各常任委員会や予算特別委員会などに付託されていた2025年度一般会計など当初予算関係や条例制定などの議案を可決した。請願・陳情の採決では大島郡医師会が提出した新規の「血液製剤安定供給の構築に関する陳情書」が採択された。

 同陳情は、奄美群島における血液製剤安定供給体制の早急な構築を要望する内容。付託された環境厚生委員会の上山貞茂委員長が委員会での審査結果を報告。「奄美群島における血液製剤の安定供給体制を早急に構築すべきとの意見があり、全会一致で採択すべきと決定した」と述べた。

 可決された予算関連12議案のうち、一般会計当初予算は前年度当初比1・5%増の8527億3400万円。物価高騰対策や基幹産業を中心に「稼ぐ力」の向上に注力するとともに、能登半島地震を踏まえて防災対策のさらなる充実・強化のための予算を盛り込んでいる。奄美関係では、新規に急患搬送用備品整備事業(1611万8千円=夜間照明設備がない喜界、沖永良部、与論空港を対象に持ち運びができる可搬式の夜間照明設備)、離島・へき地における遠隔医療推進事業(1200万円=ICTによるオンライン診療を用いた患者負担軽減等に向けた地域モデルの導入手法の検討・実証)など計上している。

 副知事の選任で同意を求める議案が追加された。藤本徳昭副知事(64)が今月末で1期4年間の任期満了を迎えることから、後任を選任するもの。塩田康一知事は再任を提案し、理由として県政を取り巻く状況を熟知しているなどを挙げた。採決により起立多数で同意された。29年ぶり4人目の副知事再任となった藤本氏は、県職として保健福祉部長、環境林務部長、企画部長などを歴任した。

 このほか意見書4件を原案通り可決。「刑事訴訟法の再審規定の速やかな改正」「日米地位協定の見直し」「持続可能な学校の実現」「安定的な地域医療体制の確保に向けた支援の充実」で、うち地位協定見直しは「これまでの運用面での改善ではなく、全国知事会の提言に沿った協定の見直しがされることで日本と米国が対等な立場で互いに主権を認め合うことにつながる」と指摘している。

 なお、本会議の冒頭、県警の岩瀬聡本部長が情報漏えい容疑などで幹部職員が書類送検され懲戒処分したことに関し報告。「今回の件を受けて県公安委員会から綱紀粛正の徹底を図るよう指導があり、警察庁から再発防止に関わる各種取り組みの推進について指示があった」と述べ、「県警察が置かれた厳しい現状について厳粛に受け止め今後、私の責任の下で信頼を回復する努力をこれまで以上に重ね、県警察職員が一丸となって県民の安心安全を確保するという本来の業務をまい進するための環境を整備していく」との決意を示し、陳謝した。

 27日が最終本会議で、常任委員会などの構成を決める。