地域マイクログリッド(発電)の可能性を語る㈱日本政策投資銀行の原田文代常務執行役員
財務省が主催する「独立行政法人・奄美群島振興開発基金応援セミナー」が28日、奄美市役所であった。地元選出県会議員、奄美群島12市町村の自治体関係者、経済界などから103人(会場61人、オンライン42人)が出席。2024年度に改正された奄美群島振興開発特別措置法の基本方針や国・県の取り組みについて説明を受け、離島の特性を生かした課題解決の事例を学んだ。
セミナーは、奄美3世(龍郷町)で同省大臣官房政策金融課課長の大江賢造氏が中心となり企画。基金を活用した産業振興と、中小企業の経営改善の取り組みを紹介し、事業者のサポートを目的とした先進事例を共有した。
国土交通省の遠山英子地域振興官が改正奄振法の概要について▽人の流れの創出(移住促進・空き家改修など)▽沖縄との連携強化―などと説明。同基金の業務として、事業者へのコンサルティングを強化すると話した。
日本政策投資銀行の原田文代常務執行役員が「奄美群島における再生可能エネルギーの可能性」と題し講演。
離島の課題と論点を踏まえ、「グリーン(再生可能エネルギー)とレジリエンス(回復力・弾力)を両立するエリア自給モデルの構築が理想」と唱えた。
原田執行役員は、再エネの導入拡大には、送電線の運用容量を超える「系統混雑」が生じやすいとして、地域内のエネルギーを自給自足する「マイクログリッド」(MG)が鍵になると話した。
地域MGのメリットとして、太陽光・風力・バイオマスなどの資源を有効活用すれば、地元企業の成長機会獲得や雇用創出、地域ブランドの向上につながると可能性を示唆。
奄美大島では、環境負荷のかかる名瀬発電所や竜郷発電所のディーゼル発電に頼るのではなく、新住用川発電所の水力発電を活用し、南部の地域MG形成が考えられると提示した。
現在取り組みが進む沖永良部の地域MG構築や国内外の取り組みも紹介。また、再エネプロジェクトの融資形態として従来の「コーポレートファイナンス」に変わる「プロジェクトファイナンス」の仕組みなども詳細に説明した。
日本政策金融公庫総合研究所の藤井辰紀氏は、人材不足への対応策を講義。業務の機械化・自動化、従業員の多能化、ビジネスモデルの転換などの対策を示した。