初来島の写真見つかる

皇太子時代の上皇さまと上皇后さまの写真が自宅にあった赤塚興一さん

皇太子時代の上皇さま上皇后さま
赤塚さん「懐かしくなった」

 奄美市名瀬浦上町の赤塚興一さん(86)の自宅で、1968(昭和43)年4月、奄美初来島された皇太子時代の上皇さまと上皇后さまの写真が見つかった。県職員として車の運転手をしていた赤塚さんは名瀬港(旧港)で、上皇さまご一行が瀬戸内町の古仁屋から名瀬港へ着くのを待機していた時、お二人が船から降り立つところをカメラに収めたという。

 当時、普段はジープで県職員の送迎をしていたが、上皇さまと上皇后さま滞在中の送迎は「大島タクシーや田中タクシーの社長の車を借り、送迎をした」と赤塚さんは話した。

 初日、奄美空港から市内に向かう途中で龍郷町赤尾木にある児童福祉施設「希望の星学園」や名瀬和光町の国立療養所「奄美和光園」へ立ち寄られたそうだ。

 古仁屋へ向かう時、赤塚さんの担当する車は前列から3台目。警備関係・宮内庁の担当者・県の幹部職員などが乗車。「非常に緊張した」と赤塚さんはいい、路上でお二人の車が通るのを今か今かと待ちわびている人たちのことを気遣い、宮内庁の職員が「美智子さまは車の右側に乗っているので、道路の右側にいると見えますよ」と、警備の人に連絡をしているのを車中で聞いたという。「なんて優しいんだろう」と感心したことを今でも忘れないと振り返った。

 また、上皇さまは古仁屋の手前の阿木名集落の川の所で趣味である「いぼ」(川魚)の観察をしたりしたという。

 赤塚さんは「写真の整理をしていて、この写真を見つけ懐かしくなった。大島紬がまだ盛んで名瀬の街は景気が良い時代だった。この時の運転手をした5人のうち3人は故人となったのが寂しい」と語った。