加計呂麻島のソテツ被害

加計呂麻島の出入り口・瀬相のフェリー待合所前にある被害ソテツ。放置が続くと拡大源となる可能性が指摘されている

出入り口、待合所前でも
「放置、感染拡大の恐れ」

 外来カイガラムシ(和名ソテツシロカイガラムシ)によるソテツ被害は瀬戸内町の離島・加計呂麻島でも確認されているが、人の往来の多い島の出入り口でも見つかっている。定期フェリー待合所前のソテツで、「対策を施すことなく放置すると、ここが起点となり島内全域に被害拡大の恐れがある」との指摘が出ている。

 町農林課によると、定期的なパトロールなどにより同島で被害が確認されたソテツは7本(今年2月末現在)。集落別では瀬相、俵、嘉入、芝で、それぞれ1~2本程度。道路沿線などにあり、行政機関による植栽ではないという。

 葉が黄白色となり枯れた状態。同課の担当者は「自然に生えたものではなく、植えたソテツと見られるが所有者は不明」と説明する。所有者が分からないため葉の切除や幹の伐倒駆除ができず、薬剤も散布されていない。放置されたままだ。加計呂麻島に近い請島、与路島にも被害が及んでいるかは「集落の区長などから現在のところ報告は寄せられていない」とし、「請島は以前、住民が畑にソテツを植え、ナリ(ソテツの実)を採取してきた。ソテツ畑が比較的多く残っている」と担当者。

 県や市町村はチラシなどを通して「虫が付いたソテツを、被害が確認された地域(島)から持ち出さない」よう移動の注意を呼び掛けている。一般社団法人日本ソテツ研究会の髙梨裕行会長は「(濃淡はあるものの、島内全域で被害が確認されている)奄美大島に近い加計呂麻島での被害のうち、島の出入り口(瀬相集落のフェリー待合所前)のソテツが気になる。害虫であるCAS(キャス=学名アウラカスピス・ヤスマツイの英語表記通称)が人の衣服などに付着して運ばれる可能性がある。現在はまだ被害が少ないようだが、往来がある所のソテツをそのまま放置すると、ここから島内全域に拡大することが懸念される」と指摘する。

 髙梨会長が警戒するのが気温の上昇だ。「学会誌の記述からCASは気温が22度以上になると産卵・ふ化を3~4回繰り返すとされ、奄美ではこれからCASのライフサイクルが本格化する」として、「喜界島のように幹の根元部分からの伐倒駆除ができないか。少なくとも薬剤散布を重ねてほしい。所有者不明を理由にそのままにするのではなく、島内あるいは隣接する他の島のソテツを守るためにも首長判断で対策をお願いしたい」と提案する。

 髙梨会長によると、ソテツは一つの群生地において雌の木が5本、受粉する雄の木は適宜あれば子孫を残すことができるという。行政、住民で「地域のソテツを守る」という意識を持ち対策に乗り出せるかが、奄美大島のような壊滅状態を回避する方法となりそうだ。