奄美支部・喜界島支部も合吟

奄美大島で初開催された「第75回日本吟道全国大会」(6日、奄美市名瀬の奄美川商ホール)

悲願の吟道全国大会開催
漢詩の古里、中国からも

 2024年度日本吟道全国・吟詠(ぎんえい)コンクール最終選考会を兼ねた「第75回日本吟道全国大会」(公益社団法人日本吟道学院主催)が6日、奄美市名瀬の奄美川商ホール(奄美文化センター)であった。全国各地の吟道会から約400人が集結。磨き上げた表現力で和歌や漢詩を吟じた。漢詩の古里、中国から上海書画吟道会も参加して中国語を交えた吟詠を披露するなど、吟道の芸境を切磋琢磨(せっさたくま)する場となった。

 伝統芸能として奈良・平安時代から培われてきた詩吟。遣唐使が中国から漢詩を持ち帰り、貴族の間で節をつけて詠んだのが始まりとされる。その後、江戸時代に花開き、日本の伝統文化として継承されてきた。

 奄美大島での全国大会開催は、2020年に計画されていたものの、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となっていた。

 大会は、総勢25人による奄美大島六調太鼓で華やかに開幕。磨き上げられた「独吟」に、詩の情景を思い浮かべるようにじっと目を閉じ聴き入る観衆の姿が見られた。

 複数で音を合わせ吟じる「合吟」では、歌い出し、転句(高い音程)、結句(詩歌の結び)がぴたりとそろった歌が披露され、大きな拍手が送られた。

 同学院創立45周年を記念した式典も行われ、全員で学院創始者の渡邊龍神氏(故人)作「発祥の詩」を〝大合吟〟した。出席した安田壮平奄美市長は「学生時代に1年間詩吟を学んだ。詩吟は、歴史や文学の教養を豊かにしてくれる。次代へ継承し、さらなる発展を願う」とあいさつした。

 「奄美大島めぐり」と銘打った吟詠では、奄美ゆかりの詩が続いた。鹿児島吟道会奄美支部・男子の「名瀬慕情」、同女子の「奄美路上」、同会喜界島支部の「喜界島慕情」が合吟されると、感極まったのか涙を流す人の姿もあった。

 大会運営に尽力し、この日同学院から感謝状を贈られた當(あたり)龍光(光二)さんは「待ちに待った奄美での全国大会がうれしくてしようがない。これを機に新会員を募り、吟道の発展により一層尽くしていきたい」と喜びを表した。

 吟詠コンクール最終選考会に出場した6人は全員合格し、「日本吟道吟士権者」の称号を手にした。