6万筆の署名を防衛省側に提出する辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会
【東京】辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会(阿部悦子・大谷正穂共同代表)は10日、「鹿児島県奄美大島から辺野古埋立のための石材・土砂を調達しないことを求める要請」を防衛省に、全国から寄せられた6万筆の反対署名と共に提出した。奄美大島からの埋め立て用材調達と辺野古・大浦湾の埋め立て工事中止、同時に沖縄本島南部の戦没者の遺骨が含まれている土砂の利用反対を訴えた。
この日、東京千代田区永田町の衆議院第2議員会館1階の多目的ホールで開催された防衛省との交渉には、埋め立て反対を唱える人らを中心に約100人が詰めかけた。交渉に先駆け開かれた院内集会では、沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんらによる交渉の内容などの説明があり、北上田さんは「力の格差がある交渉だが、問題提起に意味がある」と述べた。
交渉には防衛省から9人が出席、提出されている基地建設事業に関する質問事項に返答する形で進められた。埋め立て用材調達問題、土質調査、大浦湾で始まった工事の問題点、安和桟橋出口部での死傷事故の原因究明と安全対策、奄美大島におけるMV22オスプレイの低空飛行訓練ルートについてなど五つの質問が上げられた。
防衛省からは「埋め立て土砂の調達先は決まっていない。護岸工事に使用する石材の調達は受注者が、埋め立て土砂ではなく石材の調達先を検討する中で、奄美大島における調査を実施している」との回答があり、その内容に終始した。
北上田さんからの「調査をするということは、調達が目的なのでは」の問いにも明確な答えはなかった。
同会は2015年に奄美大島で発足、全国に呼び掛けて活動が始まった。19年には奄美で総会が開催された。今回の交渉では防衛省からの返答は当日までなかったという。
南部の土砂収集については「新たに発注する工事の埋め立て土砂の調達先については決まっていないが、多くの住民が犠牲になった本島南部一帯の遺骨問題は真摯(しんし)に受け止める必要があると認識し、歴史を踏まえながら、事業を進めていく」という防衛省からの回答だった。海砂についても「採取業者が、関係法令に基づいて採取しているものと承知している」と回答した。
これに対し「採取場所を決めるのは受注者側か、防衛省側なのか」「血の通った対応をしてほしい」の声が上がった。会場には社民党党首の福島瑞穂参院議員も顔をそろえ防衛省の答えに異を唱えていた。
奄美から出席した奄美ブロック護憲平和フォーラムの城村典文さんは、オスプレイの騒音被害、世界自然遺産である奄美を訴え、「武器で平和はつくれない。辺野古の新基地は造ってほしくない、オスプレイは飛ばさないで」と主張した。