「レインガーデン」でサンゴ守ろう

レインガーデンづくりに取り組む参加者。左側から流れ込んだ雨水を地下に浸透させるため、手前の穴には「敷葉工法」が施された(12日、龍郷町)

龍郷町で勉強会
自然保護協 雨水浸透、赤土流入防ぐ

財団法人日本自然保護協会(東京都、略称NACS―J)主催の勉強会「サンゴを守るお庭づくり」が12日、龍郷町赤尾木の手広地区振興センターなど2か所であった。約30人が参加し、海洋環境汚染の原因となる赤土の流出を防ぐ「レインガーデン」(雨庭)作りに取り組んだ。

レインガーデンとは、降雨時に雨水を一時的にため、時間をかけて地中に浸透させる緑地スペースのこと。都市部では、洪水を防ぐ目的で公園などへの整備が進められており、自然を生かしたグリーンインフラの一つと言われている。

勉強会は、同協会が「お庭からサンゴを助けることができるかも」のサブタイトルをつけ開催。神奈川県や東京都などの公園で、レインガーデンを利用したグリーンインフラ事業を手掛ける㈱ハビタ(本社・神奈川県)の滝澤恭平代表取締役(49)が実践事例を紹介した。

滝澤さんが手掛けた公園の一つは、土が踏み固められ雨水の地下への浸透が妨げられており、降った量の約50%が階段に集中して流れ、洪水のような状態だったという。

このため、水がたまる箇所に砕石や不織布を施す方法でレインガーデンを配置し、降雨量(60㍉想定)の約30%を地下に浸透させることに成功したという。

滝澤さんは「最近は、80㍉の降雨が当たり前になった。このうち10㍉をグリーンインフラで処理できれば海の保全につながる」と話し、流域治水に住民主体で取り組む意義を強調した。

同町の個人宅の庭で行われたレインガーデンづくりの実践には、約20人が参加。降った雨が排水路を通り直接海に流れ込む状態の庭に、約60~80㌢の穴を数か所掘り、草木灰・落ち葉・小石などを入れる「敷葉工法」という古代の土木技術を使った土壌改良を約3時間かけ施した。

参加した奄美市笠利町の川上肇さん(74)は「サトウキビ畑から赤土が流れ出すことは知っている。土手を盛り上げ、水が真下に染み込む工夫をすれば防げること。農家にこそ、こうした講習会に参加してほしい」と話した。

同協会の中野恵さん(49)は「雨水が直接海に流れ込むことは、塩分濃度が急激に下がりサンゴにとっての影響が大きすぎる。レインガーデンのような新たな取り組みを徐々に増やし環境保全につなげたい」と話した。