80歳現役介護スタッフの傘寿祝い!

はつらつと「傘寿(80歳)」の現役介護スタッフの伊藤レイ子さん=13日、「グループホームみさき」(伊仙町)

 

 

笑顔と優しさで照らすグループホーム
伊仙町

 

 

 

 【徳之島】「知識と経験を生かし、笑顔と優しさに包まれたすてきな時間をありがとう」――。伊仙町犬田布にあるヘルスネット徳洲会「グループホームみさき」(里村貴子管理者)で13日、80歳の現役介護スタッフ、伊藤レイ子さん(同町八重竿)の傘寿祝いが盛大に催された。深刻な人材不足が続く介護業界において、異例の〝逆誕生日会〟は、生涯現役を貫き、いきいきと天職を全うする伊藤さんの姿を力強くアピールした。

 1945年4月生まれの伊藤さんは、大阪時代から病院の看護助手などを経て、伊仙町社会福祉協議会の訪問介護やグループホームみさきを通じて、通算約40年もの長きにわたり介護の現場に身を置いてきた。グループホームみさきの22人の職員スタッフの中で最年長の80歳。フルタイムで勤務しながら、入居者のお年寄りに優しく寄り添い、介護現場を力強く牽引(けんいん)するカリスマ的な存在として、皆から深く慕われている。

 同施設では、月に一度、利用者向けの誕生日会を開催している。今回の特別な企画について、里村管理者は「徳之島、そして日本全体で介護職の人材不足が深刻な状況にある中、当事業所では、ご本人の都合や希望に合わせた勤務形態への取り組みに力を入れています」と説明。さらに、「伊藤さんは、全ての業務を穏やかに、そして着実に推進してくださいます。時には私にも『あわてずにゆっくりとね』と声を掛けてくださる。新人の指導にも積極的に協力してくださるなど、伊藤さんはみさきの自慢です」と、その功績と人柄をたたえた。

 サプライズで用意されたまばゆい黄金色の頭巾とちゃんちゃんこを身に着け、同僚職員たちの「ワイドワイド」の掛け声と温かい手拍子に迎えられ、会場の食堂ホールに入場した伊藤さん。ひな壇に着席するのも束の間、祝福の歌や踊りの輪にすぐに加わり、主役とゲストが入れ替わるような和やかな雰囲気で、利用者のお年寄りたちを大いに喜ばせた。

 あいさつに続き会場からの質問に応じた伊藤さんは、「何よりもお年寄りが大好き。同僚の職員さんと一緒に歌ったり踊ったりすることも好きで、介護職は私にとって天職だと思っています」と満面の笑みで語った。そのはつらつとした気力と健康の秘訣(ひけつ)については、「人生100年時代、社交ダンスや体操もバリバリ頑張っています。介護職も、孫が大学を卒業するまでのあと4年は続けたいと思っています」と力強く語り、会場を沸かせた。

 同僚の米山成美さん(68)は、「尊敬できる先輩として、いつも見習って頑張っています」と、伊藤さんへの敬意を表した。

 80歳を迎えてもなお、現役として介護の現場で輝き続ける伊藤レイ子さん。その笑顔と優しさは、グループホームみさきを温かく包み込み、介護の仕事の素晴らしさを改めて教えてくれる。深刻な人材不足が叫ばれる介護業界にとって、伊藤さんの存在は希望の光となるだろう。