トランプ関税影響 知事会見

 

実態注視し対応へ
県産農林水産物輸出「米国が最大貿易相手国」

塩田康一知事は18日、今年度最初となる定例記者会見を県庁で行った。2023年度の県産農林水産物の輸出額は前年度比12%増の約367億円となり最高額を更新したが、輸出相手国別では米国が全体の46%と半分弱を占める。トランプ政権による関税措置の影響について知事は「米国が最大の貿易相手国。影響がどうなるか、実態がどう動くか注視したい」と述べ、その上で対応していくとした。

県のまとめによると、23年度輸出額の部門別では、畜産物が約146億円、農産物約44億円、林産物約37億円、水産物約140億円。主な輸出国・地域では、米国約170億円、香港約46億円、中国約38億円、台湾約35億円、EU同となり、米国の占める割合が高い。

こうした中、トランプ関税の影響について知事は「日々状況が変わり、影響がどうなるか予測するのが難しい。庁内では米国との貿易の実態を押さえた上で何らかの影響が生じた場合の対応を考えている」と述べた。米国との取引が多い品目が養殖ブリ、牛肉、お茶の3品目。中でもブリは米国で生産されていないため県産を購入しており、知事は「関税による米国内での影響で物価高が生じた場合、消費低迷の影響が出てくる可能性がある」と推察した。

輸出額に関し、今年度目標額は約500億円を掲げている。米国への依存状況から達成が危惧されるが、知事は「500億円はかなりハードルが高い目標。その中でブリは輸出の主力品目として115億円から200億円を目標としている。全体の目標額を現在のところ変える予定はなく、掲げた目標に向けてしっかり努力していきたい」との考えを示した。

支援策で金融面での支援が必要な場合に対応するため相談窓口を設置しているが、「今のところ影響は出ていない」。他県では補正予算検討の動きもあるが、「影響が明らかになった段階で必要なら検討する」。

長崎県壱岐島沖で医師や患者ら6人が乗ったヘリコプターが転落した状態で見つかり3人が死亡した事故を受けて、会見では医療用ヘリの安全運航に関する質問があった。奄美群島での運航を含めてドクターヘリは県で2機、民間でも1機保有している。知事は「点検を行うなど安全運航を事業者に要請している。長崎の事故の原因究明、再発防止対策が出てきた場合、事業者への要請、県として必要な取り組みを検討したい」と述べ、ドクヘリの夜間運航については医師の確保、照明灯整備、パイロットの人員確保などを課題として挙げた。

備蓄米の放出と流通について、1回目は県内で2000㌧が確保され出回り、2回目は1000㌧を要請し流通すると説明。県内産コメの作付に関し「生産見込み量に対して実態は8割ぐらいにとどまっている。夏場の高温時期に強い品種の作付が求められており、生産農家に働きかけていきたい」と述べた。