手前には同展の告知ポスターも飾られた「写真で振り返る田中一村展」
昨年、東京都台東区上野にある東京都美術館で開かれた「田中一村展~奄美の光、魂の絵画」を写真で振り返る企画展が19日、奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村記念美術館で始まった。観客約28万8千人を動員し、盛況のうちに幕を閉じた展覧会の様子を写真で回顧。東京での展示シーンや活気を伝えている。5月25日まで。
東京展は、昨年9月19日~12月1日に開催。「大回顧展」と銘打ち、田中一村(1908~77年)の幼年期から晩年までの作品と資料など、過去最大となる311点を展示し、その全貌(ぜんぼう)を紹介した。
作品は、田中一村記念美術館所蔵の167点のほか、千葉市美術館や個人所有のものなど、全国から寄せられた。代表作の「アダンの海辺」「不喰芋(くわずいも)と蘇鐵(そてつ)」もそろって展示。期間中は、大手メディアや専門誌にも大々的に取り上げられ、話題になった。
企画展では、一村の肖像が出迎えるエントランスや、東京、千葉、奄美時代の3フロアの展示のほか、同展アンバサダーで俳優の小泉孝太郎さんや宮崎緑園長らが出席した内覧会の様子などを写真22枚で紹介。会場限定販売の作品図録やオリジナルグッズも多彩に飾られ、来場者らはその様子に見入っていた。
京都からツアーで訪れていた辰巳優子さん(72)は東京展で鑑賞以来、大の一村ファンになった。「人に訴える画力がすごく、生きざまが見える」とこの日も展示を満喫し、「身近に感じられる」と聖地を堪能していた。
上原直哉学芸専門員は「多くの人に感動を届けた展覧会。当時の雰囲気を少しでも感じていただければ」と呼び掛けている。
開館時間は午前9時~午後6時で、観覧は無料。5月7、21日は休館日となっている。