テープカットで開所を祝う関係者
特別内覧会では多くの島民らが施設を見学した
大和村が整備を進めてきた国の特別天然記念物アマミノクロウサギの研究飼育施設「QuruGuru(くるぐる)」の開所式が20日、同村思勝の現地であった。伊集院幼村長ら関係者がテープカットを行い、悲願の施設がオープン。希少動植物と人が共生・共存する社会をつくる新たな拠点の誕生を祝った。
正式名称は、アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru。建物は鉄筋コンクリート造り一部2階建て。保護や療養、展示、研究、環境教育などを兼ねた複合的な施設で、ウサギに特化した施設は世界でも珍しいという。最大20頭が収容できる。
施設内には研究室のほか、巣穴での様子が見られる「ひるにわ」(屋外)と、夜の活発な行動が観察できる「よるにわ」(室内)の2種類の飼育展示室を用意した。夜の森を疑似体験できる「くるぐるの森」、オリジナルグッズを販売する「ミュージアムショップ」なども設置。すでに「ケンタ」と「ユワン」の宇検村で保護されたオスの2頭などが生活を始めている。
午前11時に開かれた記念式典には、三反園訓衆院議員、塩田康一知事、町村首長、地元選出の県議のほか、国や県、村の職員や議員、住民ら関係者91人が出席。テープカットで開業を祝い、新たなランドマークの始動に期待を寄せた。
伊集院村長は「先人が守り続けた自然を次世代に引き継ぐ拠点になると確信している」とあいさつ。塩田知事は「探究の拠点、新たな観光施設として地域の活性化につながることに期待する」と祝った。式典後の祝賀会では、特産品のスモモ酒で乾杯。村観光大使のシマ唄デュオ「すもも」が祝い唄で花を添えた。
午後2時からは、特別招待された一般住民の内覧会もあり、約75人が施設を見学した。家族4人で訪れた野田湊斗君(3)は初めて生きたクロウサギを観察。「(思っていたより)小さくてかわいかった」と笑顔だった。
通常営業は21日から。定休日は月曜日で、開館時間は午前9時半~午後4時半。入場料は大人(高校生以上)1000円、子ども(小中学生)700円、未就学児無料。島民と村民は割引料金が適用される。
研究飼育施設の構想は2017年に着手。工事は20~24年の5か年計画で推進。総事業費は8億2700万円で、国の奄美群島成長戦略交付金事業を活用した。