奄美大島初の鳥インフル疑い

ハヤブサ1羽から 陽性反応、遺伝子検査へ

 

 県は20日、奄美市名瀬市街地の路上で衰弱した野生のハヤブサ1羽が見つかり、回収し簡易検査を行ったところ、鳥インフルエンザウイルス「陽性」が確認されたと発表した。陽性反応を受けて専門機関での遺伝子検査が予定されている。野鳥における簡易検査陽性事例は奄美大島では初めてで、監視を強化する。

 自然保護課によると、19日に路上にうずくまり衰弱しているハヤブサを一般の人何人かが発見。様子が変として獣医師が回収し、病院で治療を行うとともに環境省(奄美野生生物保護センター)に連絡。陽性が判明した簡易検査は獣医師が行い、環境省職員が立ち会った。陽性事例は群島内の他の島でもこれまでない。

 回収された検体については今後、国立研究開発法人国立環境研究所で高病原性鳥インフルエンザウイルスの遺伝子検査を実施予定だが、結果判明まで数日間程度かかる見込み。遺伝子検査等の結果、陰性となることもあるという。

 環境省は回収地点(発見場所)から半径10㌔㍍圏内を野鳥監視重点区域に指定した。奄美市名瀬地区だけでなく龍郷町や大和村も含まれるが、同課の川瀬翼課長は「県と市町村職員が連携を取り、鳥が集まりそうな池や川で異常な個体がないか監視していく」としている。

 なお、県はホームページを通し野鳥が鳥インフルエンザに感染していた場合の対応の周知を図っている。この中では野鳥が感染した場合、「同じ種類の鳥が次々に死んでいくということが知られているので、野鳥の大量死亡や原因が分からないまま連続して死んでしまう場合には、県地域振興局・支庁林務水産課、市町村の鳥獣保護担当課へ連絡」を呼び掛けている。

 

養鶏の異常なし
飼養衛生管理 基準の順守呼び掛け
県家畜保健衛生所

 

 奄美大島では初の野鳥における鳥インフルエンザウイルスの簡易検査陽性確認を受けて県鹿児島中央家畜保健衛生所大島支所は、管内の養鶏農家に異常鶏の有無を確認したほか、飼養衛生管理基準の順守を呼び掛けた。現在のところ養鶏で異常は確認されていない。
 同支所は奄美大島と喜界島を管轄。奄美市笠利町に事務所があり、瀬戸内町と喜界町に駐在を配置している。同支所によると、20日に100羽以上ニワトリを飼っている農家5戸と回収(ハヤブサの衰弱個体1羽)地点から半径3㌔㍍未満の100羽未満農家2戸を対象に、▽状況の経緯説明▽異常鶏の有無の確認▽飼養衛生管理基準の順守▽早期通報(異常を確認した場合)―を連絡。21日現在、異常はないという。
 笠利町屋仁に養鶏場があり、約3万羽と島内で最大規模の飼養農家・南利郎さん(77)は「消費者の皆さんは野鳥での確認であることを認識していただきたい。渡り鳥は3~4月は北に帰る時期であり、なぜ今頃という気持ち。鶏舎に野鳥が入り込まない取り組みや消毒など改めて衛生管理を徹底していきたい」と語った。